ランド研究所の研究員ダリア・ダッサ・ケイ(Dalia Dassa Kaye)とイスラエル政策会議のシラ・エフロン(Shira Efron)が2020年8/9月号の『サバイバル』で「 イスラエルの進化する対イラン政策(Israel’s Evolving Iran Policy) 」と題する共著の論文を発表しました。 イランに対するイスラエルの政策が形成された経緯とその影響を調査し、今後の中東情勢の動向を検討しています。 論文情報 Dalia Dassa Kaye & Shira Efron (2020) Israel’s Evolving Iran Policy, Survival , 62:4, 7-30, DOI: 10.1080/00396338.2020.1792095 イランの脅威に対処する必要があることではイスラエルの国内で意見が一致しています。しかし、イランの脅威にどのように対応すべきかという点に関しては、国内で政治的な対立がありました。 対イラン政策をめぐる対立を浮き彫りにした出来事として注目されるのが2015年に成立した包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action, JCPOA)であり、米国、英国、フランス、ロシア、中国、ドイツ、イランが受け入れた合意です。 その計画によれば、イランは核開発体制を大幅に縮小し、国際機関の査察を受け入れる見返りとして、西側からの経済制裁を段階的に解除してもらえる予定でした。 イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、この合意に猛反発しており、2015年に訪米した際にも連邦議会での演説でもこの合意を批判しています。 しかし、当時のイスラエルにはこの合意を支持する人もいました。イスラエル国防軍の参謀総長だったエイゼンコット(Gadi Eisenkot)、アシュケナジ(Gabi Ashkenazi)、ガンツ(Benny Gantz)のような将官だけでなく、諜報特務庁長官を務めたダガン(Meir Dagan)、パルド(Tamir Pardo)、公安庁長官の経歴を持つディスキン(Yuval Diskin)などもネタニヤフの立場と距離を置いていました。彼らはイランと合意をまとめ、核開発を一時的にでも中断させたことに一定の意義があったと認めています。 し...
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