2020年6月30日、中国の全国人民代表大会常務委員会は香港国家安全維持法を全会一致で可決し、香港政府が同日に施行しました。 この新法によって香港の永住者、非永住者は国からの分離独立、政権転覆、外国勢力との結託を試みることで最低3年、最高無期懲役の刑が科されることになります。 なぜこのような措置がとられたのか、インドにあるO・P・ジンダル・グローバル大学の教授 マイケル・デイヴィス(Michael C. Davis) が フォーリン・アフェアーズ のウェブサイトで経緯をまとめた記事を掲載しているので、ここで紹介したいと思います。 Michael C. Davis, Hong Kong Is Part of the Mainland Now: Beijing’s New Security Law Has Stifled the Territory’s Autonomy and Hopes, Foreign Affairs , July 2, 2020. https://www.foreignaffairs.com/articles/china/2020-07-02/hong-kong-part-mainland-now (2020/07/05、アクセス確認) 1997年にイギリスから香港が中国に返還されて以来、香港と中国の関係は一国二制度によって規定されてきました。 この一国二制度とは、1990年に制定された基本法が根拠となっています。それによれば、香港には「高度な自治権」が与えられていました。 香港は中国の一部でありながら、民主的な自治を行うことが認められており、イギリス法の考え方に基づく司法制度、人権状況が維持され、公共の秩序を維持する責任も香港の自治に委ねられていました。 そして何よりも、香港の自治は返還後50年、つまり2047年までは維持する方針でイギリスと中国は同意しており、そのことは 共同声明 によって確認されていたのです。 この一国二制度に基づく香港の地位は非常に危ういものになっており、デイヴィスもそのリスクを記事で指摘していますが、このような法律が初めてではなく、香港の自治が完全なものではなかったことも指摘しています。 そもそも、基本法には中国の全国人民代表大会の常務委員会に、その規定を解釈する権限が留保されていました。この委員会は、香港の政...
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