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米国とスーダンの国交が正常化の兆しを見せるが、まだ課題は多いと研究者に指摘される

2019年4月、スーダンでは国防軍がクーデターを起こし、長期にわたって政権を掌握してきた大統領オマル・アル=バシール(Omar Hasan Ahmad al-Bashīr)が失脚しました。

2019年9月に新首相ハムドゥーク(Abdalla Hamdok)が暫定政府を発足させてからは、米国とスーダンの関係は急速に改善しており、1993年8月から行われてきたテロ支援国家の指定も解除される可能性が出てきました。

研究者のピーター・チャーク(Peter Chalk)、デイビード・ガーテンスタインロス(Daveed Gartenstein-Ross)、コリン・クラーク(Colin P. Clarke)もこの動きに重大な関心を持って注目していますが、7月24日に発表した論説では、スーダンが国際社会に復帰するためには依然として課題があるという厳しい見方を示しています。


安全保障の観点からスーダンが注目されているのは、数多くの国際テロリスト組織の拠点として使われてきたことが理由です。
アブ・ニダル機関、パレスチナ・イスラム・ジハード運動、ハマス、ヒズボラ、アルカイダなどがスーダンから支援を受け、行政の管理が行き届いていない国境を自由に行き来しています。
このような活動を取り締まることができなければスーダンが完全に国際社会に復帰することは難しいでしょう。

スーダンは7か国と国境を接し、紅海に面する領土も持っているため、アフリカおよびアラビア半島で活動する武装勢力にとって理想的な基地でした。
近隣の国際テロ組織とのアクセスも良好であり、スーダンの西に位置するナイジェリアなどではボコ・ハラム(Boko Haram)が、マリなどではジャマーア・ヌスラ・アル・イスラーム・ワ・アル・ムスリミーン(Jamaat Nusrat al-Islam wa-l-Muslimin, JNIM)が活動しており、北には内戦が繰り広げられているリビアと国境を接しています。

これまでの調査でスーダンの北東部に特に多く基地が開設されていることが判明しています。2004年にアルカイダが戦闘員を教育訓練するためのキャンプを置いたのも、この地域でした。特にスーダン東部のカッサラ州(Kassala)とガダーレフ州(Al Qadarif)はスーダンに入るための中継基地となっています。

さらに著者らはスーダンの首都があるハルツーム州(Khartoum)がリビアやエジプトの地中海沿岸へ向かうための中継基地になってきたことも指摘しています。
エリトリア、ソマリア、イエメン、コンゴなどで発生した難民は、ハルツームを経由してヨーロッパを目指す場合が多いため、国際テロ組織はここで工作員をヨーロッパ各国へ侵入させることができます。
こうした手口を防ぐためにも、スーダンでのテロ対策を強化することには戦略的に大きな意義があります。

ただ、長期政権が失脚して暫定政府が発足しても、スーダンが米国からテロ支援国家から指定解除を受けるまでは、まだ課題があるとも著者らは述べています。理由は以下の通りです。

(1)2000年に起きた米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦に対する自爆攻撃、1998年にケニアとタンザニアで起きた大使館爆破事件を法的に解決するための外交的な手続きを完了するため、スーダンは賠償責任を果たさなければならないが、政府には支払い能力がありません。
(2)今後、スーダンが国際テロ組織の資金洗浄の中心地にならないため、銀行部門において抜本的な改革が行われなければならないが、まだ実施できていません。
(3)現在の暫定政府が、予定された2022年に民主的選挙を実施できるかについて米国が疑問視していることも懸念されます。

これらの課題を解決し、実績を積み上げることができれば、スーダンは米国との関係を強化し、国内の開発に必要な援助や投資を受け取ることもできるようになるでしょう。
スーダンの社会経済が安定し、行政の国境警備が強化されれば、国際テロ組織の活動も行き詰まるかもしれません。

問題は、どうやってスーダン政府がそこにたどり着くかであり、現状ではその道筋をはっきりと見極めることはできません。

武内和人(Twitterアカウント

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