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あのアルカイダが復活しつつあると専門家が警告を発している

アルカイダは主にアメリカとその同盟国を攻撃するイスラム教スンニ派の過激組織です。2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件を引き起こし、米国から国家安全保障上の脅威と見なされ、世界規模で掃討作戦が実施されてきました。

2001年に米軍の攻撃でアフガニスタンの拠点を失い、2008年以降に幹部の損失が相次いだほか、2011年に指導者ビン・ラディンが殺害されたことで、組織力は低下したものと考えられてきましたが、最近になって再び勢力を拡大しつつあると専門家から指摘されています。

書誌情報

先ほど述べたように、2011年に米国がビン・ラディンを殺害することに成功し、アルカイダの勢力は大幅に後退したと考えられていました。そのため、2013年に別の勢力であるイラク・レバントのイスラミック・ステート(Islamic State of Iraq and the Levant, 以下ISIL)が活動を開始すると、国際社会の関心もアルカイダからISILへと移っていきました。

しかし、この間もアルカイダは忍耐強く勢力の回復に取り組んでいました。著者はアルカイダが以前にも増して活動の秘匿を徹底しているため、その実態が見えにくくなっているものの、組織の幹部を世界各地に配置し、提携のネットワークを拡大しつつ、脆弱国家に基地を構築していると主張しています。
「この数年間でアルカイダは地域からの支持を獲得し、また武装勢力と提携することによって、勢力を拡大してきた。2014年、アルカイダは、アジアで最初の公式のネットワークとなるインド亜大陸のアルカイダ(al Qaeda in the Indian Subcontinent, AQIS)という新たな系列の組織を立ち上げたことを発表した。AQISはアフガニスタンとパキスタンで活動しているが、インド、ミャンマー、バングラデシュにも野心を抱いている」
このようなアルカイダの活動は一見すると地道なものですが、それが長期的観点から指導されているように観察されるため、注意を要する脅威であると指摘されています。

著者の調べたところによれば、2010年代にアルカイダは提携のネットワークをかなり遠方に拡大しています。ソマリア、シリア、イエメン、マリ、ブルキナファソ、ニジェールなどでも関連組織が活動しており、紛争で統治能力が低下した国に地盤を固めていることが報告されています。

その歩みはゆっくりとしたものですが、著者は他の過激派と巧みに連携しながら勢力を世界規模に拡大していることに注目し、新体制のアルカイダの戦略を軽視してはならないと警告を発しています。
「アルカイダは異なった提携組織との間の一体性を増しているようであり、いくつかの対外的な問題については共同で声明を出している。この団結を強化している要因は、上級指導部の接触が増加しているためだと考えられる」
かりに現在のアルカイダそれ自体の勢力が小さくても、提携先の勢力との関係を強化し、他の組織の人員を取り込むことができるようになれば、将来的にその勢力を大きなものにすることができます。著者は壊滅したISILに所属していた戦闘員をアルカイダが吸収している可能性があることを述べており、実際にアフリカのサヘル地域での軍事的活動を拡大させているとの報告があることを紹介しています。

またアルカイダは脆弱国家に入り込み、その地域の部族や団体に浸透することによって成長を続けていることも指摘されています。弾圧され、あるいは不満を抱く民族や部族を発見すると、アルカイダはその武装闘争の知識や技術を提供し、組織に人員を浸透させることができます。

マリで回収されたアルカイダの文章資料によれば、サヘル地域で活動するアルカイダの戦闘員はその政治的な意図や野心を持っていることを隠し、あくまでも国内の武装闘争を遂行しているように見せかけるように指示が出されているようです。

著者はアルカイダが再び大規模な攻撃を実施することを防ぐためには、彼らが静かに世界規模のネットワークを形成しつつあることを認識しておく必要があり、その長期的な戦略に慎重に対応すべきだと提案しています。アルカイダだけでなく、提携関係にある組織を包括的に監視し、特にマリの情勢に注目すべきでしょう。

武内和人(Twitterアカウント)

冒頭写真:U.S. Department of Defense, 2011

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