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2015年5月31日日曜日

補足 武器の威力を定量的に評価する意義と限界


この記事は以前に発表した「武器の威力を数値化する方法」の続きです。

理論致死指数に関する記事を発表したところ、予想より多くの閲覧者からその指数の適用範囲に関する問い合わせがありましたので、若干の情報を追記します。

そもそもデュピュイが理論致死指数という指数を考案した目的は、軍事戦略上の戦力比較をするための計算に武器の威力を考慮する必要があったためでした。
あくまでも射撃術のような分析レベルで武器の威力や性能を考えているわけではなく、より大局的な観点から武器を評価しています。

冷戦期にデュピュイがこの指数を考案するまで、あらゆる形態の武器を統一的な基準で比較する方法論はまだ確立されていませんでした。
第二次世界大戦、冷戦を通じて武器体系が複雑化していましたので、戦力比較はますます難しい作業になっており、軍事分析の方法論について再検討が求められていました。

そのような状況で、デュピュイは火力に基づく武器の威力を比較するという方法を採用し、小銃から戦車、航空機、最終的には核弾頭に至るまでさまざまな武器の性能を比較する基準を考えた次第です。
それゆえ、小銃だけに適用範囲が限定された指数ではありません。
理論致死指数の適用範囲はあらゆる武器に及んでおり、非常に粗雑ではありますが、銃剣のような近接格闘の武器に関しても分析することも視野に含まれています。

例えば、銃剣格闘を一般的に考えて交戦距離1メートル以内、1時間に殺傷可能な人数60名、有効な攻撃を加えた場合に戦闘不能にする確率0.4、正確性0.95、信頼性1と想定するならば、理論致死指数は23.521と求めることができます。

もう一つ付け加えておくべきことは、理論致死指数からは運用致死指数という別の指数を導くことができるということです。

これはまた別の記事で詳細に説明すべき事項ですが、理論致死指数の計算では1平方メートルに対して敵の兵士1名が分布するという非現実的な想定に依拠しています。
実際の戦闘では戦闘陣形に基づいて広い地域に分散しているため、この点を考慮に入れて実際に発揮される威力を計算しなければなりません。

第二次世界大戦の場合で考えると、10万名の部隊が展開する地域の平均的な面積はおよそ3000平方キロメートルであるため、理論致死指数/3000で運用致死指数が求められます。

例えば、理論致死指数が791の64式小銃は二次大戦の運用致死指数で考えれば、0.264ですが、89式は0.441と分かります。こうした運用致死指数を知ることによって、さらに複雑な軍事的能力の分析を展開することもできます。

今回の話は少し専門的すぎる内容かと思いますが、私が強調したい点は戦争を科学的に研究するためには、体系的な判断基準を設定し、それに基づいて軍事力を分析する必要があるということです。
しかし、そこにはさまざまな制約があることにも十分に注意を払う必要があります。武器の性能を評価する方法は一通りではありません。

それでもデュピュイの致死指数という考え方は非常に興味深いアプローチであり、さまざまな分析で参照される価値があると思います。

KT

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