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2015年7月11日土曜日

戦術家のための地形知識


戦術上の状況判断には地形判断というものがあり、これは作戦を実施する地域の地形の特性がどのようなものであるかを評価することを言います。
今回は、地形判断に役立つ知識を概括した上で紹介してみたいと思います。特に陸上戦闘の研究を進めるための基礎知識として役立つと思います。

まず、地形と一言で言っても、平地、渓谷、丘陵、河川、稜線、山頂などさまざまな形態がありますが、基本的に地形は三種類に区別することができます。

第一に、相対的に水平な地形である平野(plain)、台地(plateau)、メサ頂上(mesa top)、ビュート頂上(butte top)があります。
第二に、上方に向かう地形は、山(mountain)、丘(hill)、起伏(hummock)、崖(cliff)、絶壁(bluffs)に細分化されます。
第三に、下方に向かう地形は、渓谷(valley)、盆地(basin)、渓谷(canyon)、渓流河川(ravine)、洞窟(cave)に区別することが可能です。
下の図は地形に関する名称の一例となります。
陸地の地形に関する名称。
(Collins 1998: 28)より引用。
戦術的な観点から地形を見る場合に重要となるのは、それぞれの地点から射撃しようとした時の他の地点に対する相対的な高さです。
一般に地形判断では、緊要地形、障害、偽装・掩蔽、視界・射界、接近経路の五点が研究事項ですが、視界・射界の判断は部隊が持つ火力を適切に発揮するために行います。

ある地点と他の地点の間にどれだけの高低差が存在するかによって、その地点に位置する射手が目標を直接視認することが可能な視界と照準して射撃することが可能な射界の広さや方向などが規定されるのです。
地形の起伏と視界、射界の相互関係を表した図。
上の図は純粋な地形上の頂点と、軍事的な頂点の相違を表している。
下の図は、地形の起伏と視界の関係をそれぞれ表している。
(Collins 1998: 31)より引用。
ある地点から他の地点を視界に収めた時に、空中と地形の境界となる線のことを空際線といいます。
空際線上に乗り出すと遠距離からでも容易に視認することができるため、その存在を偽装することが難しく、射撃の目標となる危険が極めて高くなります。

空際線は稜線と誤解されやすい用語でもあります。稜線は厳密には山や丘の峰の連なりのことを指しており、空際線を構成することが極めて多いということは確かですが、稜線が常に空際線であると考えるのは大きな間違いです。

なぜなら、どの地点からその地形を観察するかという視点によって空際線は違って見えるためです。遠方から見るとある丘の稜線が空際線として見えたとしても、その丘の付近から見ると視界が狭まるので稜線が空際線とは見えなくなります(先ほどの図の上の絵で確認してみて下さい)。

ある地点と他の地点の高低差を判断する能力は、空際線を見極める上で必須のものであり、日頃から地図を判読し、現地で地形を観察する訓練を欠かすことができません。

参考文献
Collins, J. M. 1998. Military Geography for Professional and the Public, Washington, DC: National Defense University Press.

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