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2015年6月20日土曜日

作戦線を失った部隊は戦略的に敗北している


作戦線(line of operation)は基本的に作戦地域において基地と部隊を結び付ける名目的な線のことを意味しています。後方連絡線(line of communication)とも呼ばれ、軍事学、特に戦略学における基本概念のひとつとして使用されています。

この概念を最初に使用したのはヘンリー・ロイド(1781)という人物であり、18世紀当時の戦争、特に七年戦争を分析することを目的としていました。
「この線(作戦線)の良い選択または悪い選択により、戦争の大部分がほとんど決する。それを間違えれば、あらゆる成功、英知、意思は最終的には無意味なものとなるだろう」(Llyod 1781: 134)
ロイドの作戦線の概念は、その後ジョミニ(1971)の研究に導入されました。
ジョミニはさらに作戦線を単に基地と部隊を結びつけるものとして考えるのではなく、敵をコントロールする決勝点を確保するための作戦行動をも包含する線だと考えました。
この解釈からジョミニはさまざまな戦略を作戦線の方向によって分類することを考察しています。

コックスウェル(1995)の研究では、このような古典的学説を検討した上で、作戦線が基地と部隊の中間を結びつける線であり、部隊が前方へと機動することにより延伸されるものだと論じました。
作戦地域の分類方法についての概念図。
作戦基地によって前方の部隊が支援され、目標へと機動することが可能となる。
矢印の左から見ると兵站がまず実施される(その内部で警備作戦が実施)。
兵站支援を受けて戦場での戦術的行動が前線の部隊により実施される。
最後に作戦地域における機動へと移行している。
この図における作戦線は最初の兵站が実施される領域の中でも作戦基地から部隊までの中間に位置する。
(Coxwell 1995: 30)より引用。
ある作戦地域の中で複数の作戦線を駆使する場合、作戦線は相対的関係から次のように分類することができます。
作戦線の諸形態を表した図。
左上は連続的な作戦線。異なる時間に同じ空間に対して作戦線を集約させたもの。
右上は段階的な作戦線。異なる時間に一連の空間に対して作戦線を指向したもの。
左下は集中的な作戦線。同一の時間移動いつの場所に対して作戦線を指向したもの。
右下は離散的な作戦線。異なる空間に対して同時に作戦線を指向したもの。
(Coxwell 1995: 35)より引用。
このように作戦線を分類すると、戦略を分析する際の基準として参照することができます。

たとえば、朝鮮戦争における仁川上陸作戦の事例に最も適合する分類は第一の連続的作戦線です。釜山方面の韓国軍、米軍の防衛線に対して攻撃を仕掛ける北朝鮮軍の主力に対し、洋上から米軍が背後に進出した戦略の作戦線の形態はよく適合します(Coxwell 1995: 26, 35)。
このように作戦線を理解することで、さまざまな事例で使用されている戦略を単純化し、分析することが可能となります。

戦略家が作戦を指導するためには自らの作戦線を保全することが何よりも重要です。時として後方連絡線つまり作戦線の保全は兵站の問題として理解されることもありますが、そのような理解はロイドやジョミニの理論と矛盾するものです。
いつ、どこに、どのような作戦線を構成するかは戦略家が決定すべき事項であり、それに対して深刻な脅威が及ぶ事態があったならば、それは戦略に問題があったのだと考えなければなりません。

KT

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参考文献
Lloyd, Henry. 1781. The History of the Late War in Germany, Between the King of Prussia, and the empress of Germany and Her Allies, London: S. Hooper.
Jomini, H. 1971. The Art of War, Griess, T. E., and Luvass, J., eds. Mendell, G. H., and Craighill, W. P., trans. Westport: Greenwood Press.
Coxwell, Charles W. 1995. On Lines of Operation: A Framework for Campaign Design, Fort Leavenworth: School of Advanced Military Studies, U.S. Army Command and General Staff College.

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