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2014年7月7日月曜日

果たして経済制裁は効いているのか


国際政治学の研究では経済制裁の効果に関して見方が分かれています。
なぜなら、経済制裁の効果は確認が難しく、はっきりとした成果が見られる場合が少ないためです。

成果が見られない原因として考えられているのは、経済的要因に対する国家の反応は、軍事的要因対する反応よりも一般に小さいためだと言われています。戦略爆撃や海上封鎖のような相手国の経済基盤を破壊する軍事戦略でも効果を確認するには時間がかかります。

学術研究での報告を見てみると、この経済制裁の効果に関する議論はかなり入り組んでおり、明確な結論は得られていません。

例えばある研究で経済制裁が成功した40の事例を取り上げたところ、別の研究者がそれらの事例のうち35は経済制裁が失敗した事例であったと主張したことがあります(Hufbauer et al. 2007; Pape 1997, 1998, Baldwin and Pape 1998; Baldwin 1999/2000)。

要するにこれは研究者の間で経済制裁の成否の基準が明確ではないということ、経済制裁の効果については不明確な点が多いことを意味します。
要するに経済制裁については研究者もその効果についてはよく分からないのです。

私の立場としては、経済制裁はより軍事的観点、特に兵站の観点から考えることが必要だと思います。

兵站学の観点から考えると、経済制裁とは国家兵站を支える経済力を縮小させる方法です。

ここで重要なことは経済力が縮小することによって、軍事力の維持が困難になることです。

その国家が貿易に完全に依存する経済であった場合、経済制裁で貿易取引が不可能となると、直ちに兵站にも影響が出ると考えられます。備蓄によってその効果を一定程度遅らせることが可能かもしれませんが、長期間の消費に耐える備蓄を維持すること自体が大きな経済的負担となります。

つまり経済制裁の効果を考えるためには、時差を見積ることが必要です。
物資が不足し、生産性が低下し、税収が減少し、軍事支出が削減され、部隊の人員や装備が縮小されるまでの時間差を考慮して経済制裁を考える必要があります。

KT

参考文献
  • Baldwin, D., and Pape, R. 1998. ''Evaluating Economic Sanctions,'' International Security, 23(Fall): 189-98.
  • Baldwin, D. 1999/2000. ''The Sanctions Debate and the Logic of Choice,'' International Security, 26(Winter): 80-107.
  • Hufbauer, G. C., Schott, J. J., and Elliott, K. A. 2007(1985). Economic Sanctions Reconsidered: History and Current Policy, 3rd edtion. Washington, D.C.: Institute for International Economics.
  • Pape, R. 1997. ''Why Economic Sanctions Do Not Work?'' International Security, 22(Fall): 90-136.
  • Pape, R. 1998. ''Why Economic Sanctions Still Do Not Work?'' International Security, 22(Summer): 66-77.

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