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論文紹介 最新研究でアメリカが中国に対抗する戦略「カバート・バランシング」が注目されている

アメリカの国力をもってしても、単独で中国の脅威に対抗することは困難です。アメリカはアジア太平洋だけでなく、ヨーロッパでもロシアの脅威に対応する必要があるため、軍隊を特定の地域に集中させるわけにはいかないからです。そのため、周辺諸国の理解と協力を得なければなりません。 しかし、中国の台頭を目の当たりにしている中小国の多くは、アメリカとの関係ばかりを重視することにリスクを感じ、中国との関係にも一定の配慮を払い、リスクの分散を図ります。このような「ヘッジング」が蔓延すれば、中国の脅威に対抗するアメリカのバランシングはますます難しくなってしまいます。最近の研究では、このような問題を解決するために、アメリカが「カバート・バランシング」という戦略を採用しているという分析が出されるようになっています。 論文情報 Hugo Meijer, Luis Simón, Covert balancing: Great Powers, secondary states and US balancing strategies against China, International Affairs, 2021;, iiaa228,  https://doi.org/10.1093/ia/iiaa228 そもそも、なぜ中小国はヘッジングを選ぶのか 国際政治において国家が採用する戦略には、現状打破を目論んで自国に脅威を及ぼす他国に対抗するバランシング(balancing)や、あえて追従してしまうバンドワゴニング(bandwagoning)など、さまざまな種類があることが分かっています。 国際政治において ヘッジング(hedging)は、現状打破を目論む国と、それに対抗する現状維持の国のどちらとも距離を置く中間の立場をとる戦略 であり、大国としての能力を持たない中小国によって採用されるケースがよく見られます。 中小国がヘッジングを採用する利点は、特定の大国に肩入れし、その大国が敗者になったときに、共倒れになるリスクを回避できることです。例えば、韓国はアメリカと同盟関係を結んでいますが、その狙いは北朝鮮を抑止することです。一方、中国に対抗することには消極的です。 韓国は中国と緊密な貿易関係を有しているので、アメリカとの関係だけを重視してしまうと、米中関係が悪化した際に中国との貿易関係が損なわれ...