スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(フリードリヒ・ラッツェル)が付いた投稿を表示しています

学説紹介 国家の任務は土地の防衛である―ラッツェルの政治地理学ー

国家を構成する要素は、領土、住民、政府であると言われていますが、その中でも特に長期的、継続的に国家のあり方に影響を及ぼす要素が領土です。領土はそこに居住する住民のために住居や資源を与え、あらゆる経済活動の基盤となります。 この領土という観点から国家を考察した地理学者にフリードリヒ・ラッツェルがおり、彼の国家理論はその後の政治地理学に大きな影響を残しました。今回は、そのラッツェルの学説を紹介したいと思います。 フリードリヒ・ラッツェルの国家観 フリードリヒ・ラッツェル(Friedrich Ratzel, 1844年8月30日 - 1904年8月9日)ドイツの地理学者。『政治地理学』、『人類地理学』などの著作を残している。 ラッツェルは近代地理学の成果を踏まえ、政治地理学という研究領域を切り開いた先駆者として位置付けられています。彼の国家に関する考察は地理的アプローチによるものであることから、土地と国家の関係が詳細に検討されている特徴があります。 ラッツェルの国家観がはっきりと現れている記述としては次のようなものがあります。 「国家にとって土地が不可欠であることは疑問の余地がない。土地や境界のない国は考えられないから政治地理学がいち早く発達したのであり、たとえ国家科学が国家の空間と位置の条件をたびたび看過したとはいえ、土地を軽視する国家学説は常に一時的な錯覚であったのである」(ラッツェル、43頁) ラッツェルは、政治学の歴史において、国家が絶えず地理的環境から影響を受けることは古くから知られていたが、その分析はまったく不十分だったと考えていました。例えば、社会契約論に基づく近代的な国家理論を展開したことで知られるトマス・ホッブズは「抽象的状態のみが記述され、吟味もせずに反復されている」とラッツェルは述べています(同上、10頁)。 ラッツェルは、学者の頭の中で国家を理論的に考察することの問題を認識し、より具体的、現実的な国家を考察すべきだと考えるため、地理学の立場から国家を捉え直すことが重要だと考えたといえます。 国家の任務は土地の防衛である ラッツェルは、領土が国家の構成要素となって、国家のあり方を規定するだけでなく、国家活動の対象でもあると述べています。それは住民にとって生活の基盤であり、国民の生命と財産を保証する上で...