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2015年11月21日土曜日

敵の戦車を側面から射つためには

戦車は一般に車体の正面が装甲で防護されていますが、側面の防護は比較的脆弱という特性があります。
つまり、敵の戦車を撃破するには、正面ではなくその側背を狙う方がはるかに効率的であり、また我が方の戦車が撃破されないためには、各車両の側面が敵に暴露していないかどうか気を付けなければなりません。

今回は、味方の戦車の側面を守りながら、敵の戦車の側面を狙うために、どのような小隊射撃の方法が存在するのかを紹介し、それらが戦術的にどのような重要性を持つのかを簡単に説明したいと思います。

まず、戦車小隊射撃の基本として正面射撃(frontage fire)があります。
これは前方から横隊で接近してくる敵の戦車に対して、我が小隊も横隊に展開させ、各車両ごとに正面の目標を射撃させる方法です。
正面射撃。
敵の戦車に対して我が戦車小隊がそれぞれ正面の目標を射撃している。
実線の矢印は最初の射撃で点線の矢印は次の射撃を表している。
(ATP 3-20.15: 7-10)
もし敵の戦車が味方の戦車よりも多数である場合には、側面の目標から中央の目標へ、また中央の目標から側面の目標へと順番に射撃を実施しますが、適切な優先順位は地形や敵情によって異なるため、指揮官の判断が求められます。

正面射撃は最も単純な射撃パターンであるため、各車両が目標を確認しやすく、指揮官も小隊の射撃を統制しやすいという利点があります。
しかし、この方法だと目標車両の正面を狙うことになるため、味方の主砲の威力が敵の正面装甲を貫通できなければなりませんし、敵の戦車から射撃を受けるという危険も考慮しなければなりません。
こうした問題を解決するために編み出されたのが交差射撃、そして縦深射撃です。
交差射撃。
味方の戦車は敵の戦車から射撃を受けることがない場所に位置する。
そこから各車両が照準可能な敵の戦車の側面を射つ。
(ATP 3-20.15: 7-11)
交差射撃(cross fire)は正面射撃に伴う危険を最小限にするための射撃方法です。
これは横隊で接近する敵の戦車の正面に味方の戦車を配置させますが、地形を利用して正面から敵の射撃を受けることがないようにしておきます。
これでは味方の戦車も敵の戦車を射つことができないように見えますが、交差射撃は各車両が自分の正面にある敵戦車を射つのではなく、別の味方の車両の正面にいる敵戦車を射ちます。
こうすることで、敵の戦車はいずれも正面からではなく側面から射撃を受けることになるのです。
縦深射撃。
縦隊に展開する敵の戦車に対して味方の戦車が側面を射つ。
(ATP3-20.15: 7-12)
先程の交差射撃は敵の戦車が横隊で前進してくる場合に有効でした。しかし、もし縦隊で突撃してくれば、縦深射撃(depth fire)を選択することが可能です。
縦深射撃は味方の戦車の一部を敵の前進経路と並行する位置に配置させ、敵の縦隊の車両を前後から同時に射つ方法です。交差射撃の場合と同様に、味方の戦車は敵の戦車から射撃を受けにくい場所に位置しながら、敵の戦車の側面を射撃することが可能です。

正面射撃、交差射撃、縦深射撃はいずれも戦車小隊射撃における基本的戦技に位置付けることができます。
こうしたテクニックを組み合わせることができれば、味方の戦車の弱点を補うと同時に敵の戦車の弱点を狙うことが可能となります。

KT

参考文献
U.S. Department of the Army. 2012. Army Techniques and Procedures, 3-20.15: Tank Platoon, Washington, D.C.: U.S. Governmental Printing Office.

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