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2014年8月20日水曜日

論文紹介 民間軍事会社の軍事的な有用性


今回、紹介したいのは米陸軍の統合幕僚学校で行われた民間軍事会社(Private Military Company)の軍事的な有用性に関する研究論文です。

民間軍事会社の認知度は日々高まっていますが、それが軍事的な観点から見てどのような問題があるかが検討されています。

Wallwork, R. D. 2005. ''Operational Implications of Private Military Companies in the Global War on Terror,'' Monograph, School of Advanced Military Studies, Fort Leavenworth, KA: U.S. Army Command and General Staff College.

著者がこの論文で検討しているのは、特に対テロ作戦のような低強度紛争において民間軍事会社どの程度の有用性を持ちうるかという問題です。

企業がますます作戦行動に参加する度合いが増している一方で、その能力が過大に評価されていることを著者は懸念しています。
というのも、民間会社を部隊として運用する軍事教義の研究開発がそれに追いついておらず、適切に指導監督する方法も十分に確立されているとは言えないからです。

著者は民間軍事会社が持つ作戦上の有用性を評価するために、経営学で用いられるSWOT分析(Strength, Weaknesses, Opportunities, Threatsの略)を使っています。
これは企業の対内的な強みと弱み、環境的な機会と脅威という四つの観点から経営戦略を評価する枠組みで、その分析結果として次のことが報告されています。

まず著者は民間軍事会社の能力を考えれば、非常に戦術的な役割を果たすものに過ぎないが、これは事実上の対外政策の手段としても利用することが可能である点を評価しています。
もし政治的な理由で直接的に部隊を派遣することができない場合えも、民間軍事会社を通じて間接的に部隊を現地に派遣することができるということです。

特に著者は民間軍事会社の即応体制は通常の軍隊と比較しても優れており、例えば主力の到着の前に実施する情報収集を目的とした現地偵察のような任務においては、迅速に展開することが可能だと見ています。さらに著者は経費の節約に関しても言及しています。

ただし、著者は民間軍事会社が政治的影響力を行使する危険に注意を促してもいます。
例えば民間軍事会社がロビー活動を通じて政府内部の政策決定に影響を及ぼす癒着が醸成されるような状況が、一つの危険として考えられます。

結論としては、民間軍事会社の運用に際しては厳格な統制と法的な規制を必要とすることが大前提としながらも、今後の軍隊の教義を研究開発する上で民間軍事会社が存在することを反映させなければならないと提言をまとめています。

将来の戦略家は武力の行使に当たって正規軍を投入するべきか、民間軍事会社を投入するべきかという判断が要求される場面に直面する可能性があり、そうした戦略上の問題との関連でさらなる研究が行われるべきであるという要望でこの論文は結ばれています。

民間軍事会社の研究はまだ新しい分野ですが徐々に発展しています。
この論文は経営的観点と軍事的観点を結びつけながら、軍隊が民間軍事会社を利用できる部分と、利用が危険な部分があることを区別する必要を主張するものとして評価できると思います。

いずれにせよ、将来、大国間で大規模な戦争が勃発する可能性が低く、アメリカで財政再建が進み、軍隊の整理縮小が進めば、民間軍事会社に流入する人材や装備は一層増大し、この業界の重要性はますます高まることが予想されます。

KT

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