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2014年5月15日木曜日

安全保障学の現状と課題


最近、安全保障という言葉が非常に普及したことは大変喜ばしいことなのですが、その反面、どのような意味なのか曖昧になっているという感も否めません。

私が普段の研究で使用している定義は「安全保障とは社会の公共的利益に対して脅威を及ぼす状態を防止することを通じて行われる活動」というものです。
完璧な定義というわけではないのですが、この定義から少なくとも安全保障には三つの側面があると言えます。

対外的安全保障 集団から見て外部から及ぼされる脅威に対処する安全保障で、軍隊の任務がこれに対応しています。
対内的安全保障 集団から見て内部から及ぼされる脅威に対処する安全保障であり、これに対応しているのが警察、沿岸警備隊の任務です。
状況的安全保障 以上の二つに含まれない自然災害、感染病など非人為的な脅威に対処する安全保障であり、民間防衛隊や消防などの任務はこれに該当します。

さまざまな整理の仕方があると思いますが、恐らくこの整理が最も直観的に分かりやすく、操作しやすい理解の仕方だと思います。国家安全保障とは本来、これら三つの側面を総合していなければならず、いずれの脅威に対しても万全を期さなければなりません。

こうして見ると、安全保障学は本来、軍事学や警察学で従来扱われていた課題を総合的に研究すべき領域だと言えるのですが、実質的にそこに至っているかどうかは微妙な部分があります。

例えば不正規戦争というのは序盤は対内的安全保障の問題ですが、終盤になると対外的安全保障に変化します。というのも不正規戦争の戦略は攻撃の対象を当初は警察に絞り、次第に軍隊に移らせる戦略だからです。(陸海空軍の一元的な運用を表す統合作戦という用語がある一方で、警察と軍隊の連携を表す専門用語がないことはその一例です)
こうした脅威に対してどのように対処するべきかという問題は対反乱作戦とか対テロ作戦という分野で研究がされているところです。

高度に複雑化し続ける脅威に対処するため、安全保障学の研究課題も拡大していることを自覚し、問題解決に繋がる適格な政策的助言を提供できるよう努力を重ねなければならないと私は考えています。

KT

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