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狙撃手にも独自の戦術運用がある

狙撃手の主な任務は監視と狙撃にありますが、戦術上の役割がどのようなものかは理解しずらいところがあります。 広い視野で捉えれば、狙撃手は小銃手や機関銃手、迫撃砲手のように重要な歩兵部隊の一要素に位置付けられます。 しかし、狙撃手の戦術的運用は通常の歩兵部隊と大きく異なることは確かなので、その特性について知らなければなりません。 今回は、米陸軍の野戦教範に沿って狙撃手の戦術的運用について紹介してみたいと思います。 狙撃手の役割 通常、狙撃手は分隊、小隊、中隊に配属されることはあまりなく、大隊レベル以上の部隊で運用されています。 戦術上の機能は大きく分けて二つあり、一つは敵部隊が持つ小銃や機関銃のような小火器の射程外から重要な目標を殺傷、破壊すること、もう一つは味方が持つ他の武器体系を使用することが難しい場合に目標を殺傷、破壊することです。 「狙撃手と観測手は、歩兵中隊の作戦において重要な役割を果たす。狙撃手は大隊レベルよりも下位の部隊では滅多に配属されることがないため、それぞれの歩兵分隊は選抜射手を有している。部隊の狙撃手は部隊の編成表において認められた配置を介して配属される。高度に訓練された狙撃手は、正確性と差別性に富んだ長射程の小火器火力を指揮官に与え、緊要地形と接近経路を直接観察できる。狙撃手の射撃または長射程の精密射撃を最もよく使う二つの方法は、集団的に使われる小銃または自動火器の射程外から重要な目標を狙うこと、または射程、規模、位置、可視性、警戒、ステルス性能のために、その他の武器体系で破壊できない目標を狙うことである」(FM 3-21.8: E1) その武器の特性として、狙撃手は多数の目標を短期間で撃破するような射撃ができません。 しかし、他の火力にはない大きな心理的影響を与えることができ、敵の活動を中断させ、士気低下を引き起こし、混乱を拡大させることも可能です。 「狙撃手の戦術、戦技、要領は重要かつ詳細な敵情を直接収集し、中継することを可能にする。狙撃手の有効性は、死傷者または破壊された目標以外のもので測定される。指揮官は、狙撃手が敵の活動、士気、決心に対しても影響を与えることを知っている。狙撃手が存在することが分かると、敵の移動が妨げられ、混乱が発生し、個人的な恐怖が続く。また、敵の作戦と準備を中断し、狙撃手に...

論文紹介 陣地攻撃の損害をいかに抑制するか

敵の防御陣地に対して攻撃を加えることは状況が許す限り避けるべきである、というのは戦術の鉄則です。強化された陣地で敵の部隊が待ち受けているところに、味方の部隊をわざわざ差し向けるようなことをすれば、多くの損害が出ることを覚悟しなければならないためです。 しかし、現地の状況からやむを得ず任務遂行のため陣地攻撃を行わなければならないことがあることも事実です。そこで戦術研究としていかに効率的な陣地攻撃を実施するのかという問題が出てくることになります。今回は、第二次世界大戦の最中にこの問題を検討した論文を紹介したいと思います。 文献情報 Barker, M. E. 1945. "Assault on Fortified Positions," Military Review , Vol. XXV, No. 1, April, pp. 3-7. 陣地攻撃を完遂することの難しさ 第二次世界大戦において、米軍はヨーロッパから太平洋にわたる広大な戦域で攻勢作戦を行いました。 当時、ドイツ軍と日本軍の部隊は各地で強固な防御陣地を構築し、米軍の攻撃を破砕しようとしたため、米軍部隊からは攻撃の過程で多くの犠牲が出ています。著者は陣地攻撃の困難さを承知した上で、局地的な防御陣地に対して有効な攻撃を加えるためには化学攻撃を組み合わせることが重要になっていると判断しました。 この論文の著者の最大の関心事はいかにすれば人的損害を最小限に抑制しながら陣地攻撃を成功させることができるのか、という点にあります。 まず著者が着目しているのは防御陣地の形態の相違であり、一人だけが入れるタコツボのような簡易な形態もあれば、鉄とコンクリートで構築された要塞までさまざまあると指摘しています(Barker 1945: 3)。イタリア戦線のアンツィオの戦いでドイツ軍が使用した掩体や、日本軍が活用した洞窟陣地であり、特に洞窟については入口をS字形にすることで進入しにくくする工夫が見られたことなども紹介しています(Ibid.: 4)。 こうした小規模な防御陣地に配備された部隊は迫撃砲、機関銃、手榴弾などを使用して抵抗し続け、また陣地の内部には地雷が敷設される場合もありました(Ibid.)。 著者はこれほどの施設、武器を利用して抵抗する敵を排除することは非常に難しい...