戦場から戻ってきた兵士はその経験を生涯にわたって忘れることはありません。 その経験は兵士でない人々にとって理解しがたいことが多く、退役軍人は社会復帰しても深い孤独感にさいなまれることがしばしばあります。 軍事心理学の研究者たちは、戦闘という経験が兵士の心身の健康状態にどのような影響を与えるのかを長年考察してきました。 今回は、マーシャルとシャイの研究成果を紹介し、それらに基づいて戦闘経験が精神状態に与える影響を考察したいと思います。 戦闘ストレスから逃れようとする兵士 第二次世界大戦、太平洋戦域で従軍する米軍の兵士たち。マーシャルの研究によって実際に戦闘行動に参加して射撃している兵士が極めて少数であることを解明し、その後の戦闘訓練の考え方に大きな影響を及ぼした。: - National Park Service (National Archives). Marines mopping up Tinian Island drop into firing positions when enemy is sighted. マーシャルは第二次世界大戦に従軍したアメリカ軍の兵士を調査し、軍事心理学の研究を発展させることに大きく貢献した研究者です。 彼は兵士に戦闘を回避しようとする一般的な傾向があるという大胆な仮説を打ち出したことでよく知られています。 彼の研究成果によれば、戦闘において実際に自分の武器を使用しているのは全体の15%から20%だと見積もられており、その原因として戦闘が兵士に与える身体的、心理的なストレスが大きいためであると説明されています。 ここで述べているストレスとは、必ずしも戦闘で自分の命を危険に晒すことだけではありません。 マーシャルによれば、兵士は敵を殺傷する行為そのものに対する嫌悪感を持っており、その遂行にストレスを感じてしまうのです。 したがって、戦闘ストレスは殺される恐怖だけでなく、殺すことへの恐怖が複合して生じていることになります。 この画期的な研究は軍事訓練のあり方を見直す必要性を強く示唆していました。従来の方法であれば、兵士をうまく戦闘に従事させることができないことは明らかでした。 後にマーシャルは朝鮮戦争にも派遣され、兵士の低い発砲率を改善するための訓練方法の研究に取り組み、55%程...
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