戦争が勃発して直ちに地上部隊を遠隔地に展開する能力を持っていれば、それは間違いなく戦略的な優位を国家にもたらします。 在外基地を建設し、そこに部隊を駐留させる経費は大いに節約されることでしょう。 しかし、そのような試みが本当に実行可能かどうかは、兵站の実態と照らし合わせて慎重に考える必要があります。 今回は、特に長距離の部隊移動に関する陸上戦力の輸送手段を考察した研究を紹介したいと思います。 文献情報 Eugene C. Gritton, Paul K. Davis, Randall Steeb, and John Matsumura. 2000. Ground Forces for a Rapidly Employable Joint Task Force: First-Week Capabilities for Short-Warning Conflicts , Santa Monica: RAND. この研究が発表された背景として、2000年初頭における陸上戦力の戦略機動に関する議論が関係していました。 当時、航空輸送能力の発達によって陸軍の移動はこれまで以上に迅速になったため、それほど前線付近に部隊を配置しなくてもよいではないかという議論がありました。 しかし、この研究は航空輸送の限界を指摘し、そのような主張に根拠がないことを明らかにしたのです。 この研究の焦点は、作戦を開始する日から7日以内に陸上戦力を即応展開するための輸送手段の評価にあります。 そもそも、兵站の観点から考えれば、輸送する部隊の規模が大きくなるほど輸送力は不足しがちとなるので、即応展開の部隊の装備や物資は小規模なものでなければなりません。 そのことを表しているのが次の図です。 米軍の部隊が戦地に展開するまでに何週間を要するかを概観したグラフ。 左から海兵遠征部隊は0.5週未満、第82空挺旅団は1週未満と見積もられている。 また海兵遠征旅団、陸軍機械化旅団の所要時間は1.5週であり、重武装の陸軍師団は4週間となる。 なお、棒グラフの黒色部分は変動する可能性が大きい幅を示している。 (Gritten, et al. 2000. p. 13)より引用。 この図表を読んでみても、正規の装備を備えた戦闘部隊が戦地に展開するためには、一定の時...
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