あらゆる政策決定の基本となるのは正しい情勢判断であり、情勢判断は将来に起こりうるシナリオを詳細に検討する作業を必要とします。 今回は、東アジア地域における日本、中国、米国の三カ国の相互関係の推移をシナリオごとに分類し、発生の公算などを検討した研究を紹介したいと思います。 文献情報 Swaine, Michael D., Mochizuki, Mike M., Brown, Michael L., Giarra, Paul S., Paal, Douglas H., Odell, Rachel Esplin, Lu, Raymond, Palmer, Oliver, Ren, Wu. 2010. China's Military and the U.S.-Japan Alliance in 2030: A Strategic Net Assessment , Washington, D.C.: Carnegie Endowment for International Peace. 目次 1.はじめに 2.分析結果の要点 3.分析方法 4.日米中のシナリオ 5.日米中の六つのシナリオ 6.日米同盟に望ましい政策選択 この研究の結論を要約すると、東アジア地域で中国が継続する軍備増強を阻止する確実な手段は存在しておらず、日本と米国は事態が政治的、軍事的危機に発展する危険に対処せざるをえなくなるということが述べられています。 このような結論は、少なくとも研究者の間で既に繰り返し確認されている将来の展望ではあります。 この研究の独自性が何かと言えば、体系的なシナリオ分析が展開されている点です。 つまり、最も公算の高いシナリオから発生する公算が低いシナリオまで網羅的に検討が加えられていることが挙げられます。 2030年までの視野で考えた場合、最も発生する公算が高いと見積もられているシナリオは「均衡の喪失」と呼称されるものです。 これは全般として見ると中国より日本、米国側にとって軍事的に優勢な状況でありますが、政治的、軍事的安定はやや不安定であり、中国と米国の軍事支出が対GDP比率が高い水準で推移し、日本の軍事支出が低いまま推移することで2030年に発生すると見積られます。 部分的にではありますが、日米同盟にとって優勢な状況...
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