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文献紹介 征服によって利益は得られるのか

国際関係論では外国を征服することが国民に利益をもたらすかどうかが一つの論点となっています。 一般に武力で外国を征服しても軍事支出が膨らみ、治安維持が難しいため利益を上げることは難しいと考えられがちですが、歴史上の事例では征服で利益を上げることは不可能ではないことが示されています。 今回は、経済的な利益という観点から征服という対外政策について考察した国際関係論の論文を紹介したいと思います。 文献情報 Liberman, Peter. 1993. "The Spoils of Conquest," International Security , 18(2): 125-153. 1.論争 2.自由主義者の議論 3.現実主義者の議論 4.結論 武力によって外国を征服することが利益となる、という見解にはトゥキディデスによるアテナイ帝国の分析にまでさかのぼることができるほど古い歴史があり、近代の国際関係の分析においても見出すことができます。 しかし、国際関係論の研究では二つの理論から他国に対する戦争がもたらす利益について異なる見積が示されてきました。 第一に自由主義の理論では一般的には戦争が利益をもたらすことが困難という判断が示されています。 その理由としてしばしば挙げられるものに民族主義的な抵抗運動の危険があります。 つまり、外国軍の支配を受けた住民は、民族意識を高揚させて占領に対する軍事的、非軍事的手段による抵抗運動を推進する危険が生じます。特に20世紀以降に民族主義運動が世界的に普及してからはほとんど征服が成功する見込みがなくなったと考えられています(Ibid.: 133-134)。 また、征服した地域を政治的に支配するための費用の問題、経済的な抵抗が余剰生産物を削減し、外国との貿易を難しくすることも理由として挙げられています。 第二に、現実主義の理論から考えると、近代の国際関係においても征服は利益を上げることが可能であったことを指摘しており、戦争が国家にとって利益をもたらしうると見積っています。 この主張の根拠としては、第一に近代化による余剰生産物を増大させることが可能であるため、第二に征服した地域の住民の抵抗を困難にするために政治権力を近代化の過程で中央に集中させることができるため、第三...