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学説紹介 対外政策としての帝国主義―武力攻撃だけが現状打破の手段ではない―

帝国主義(imperialism)の定義は論者によってさまざまですが、ここでは国際政治において現状打破を目論む国家の対外政策のことを表しています。 道義的な意味合いを取り除き、対外行動の一形態として帝国主義を捉える見方は政治学者のモーゲンソーによって提案されたものです。 今回は、モーゲンソーが帝国主義をどのように考察していたのかを取り上げ、特に軍事的手段によらずに現状を打破する方法について考えたいと思います。 権力闘争の典型的なパターン モーゲンソーは政治の本質を権力闘争と考え、国際政治、国内政治のいずれの場合も原理は変わらないと考え、次のように述べています。 「国内政治と国際政治は、権力闘争という同一の現象が二つの異なった領域にあらわれたものにすぎない。そのあらわれ方は、それぞれの領域で優勢な道徳的、政治的、社会的な諸条件がことなっているためにちがったものになる」(邦訳、モーゲンソー、43頁) その上でモーゲンソーは権力闘争としての政治には、基本となる3種類の行動パターンが見られると論じます。すなわち、勢力を維持しようとする行動パターン、勢力を増大しようとする行動パターン、そして勢力を誇示しようとする行動パターンです(同上、43頁)。 国際社会における各国の政策はこの3種類のいずれかに含まれるというのがモーゲンソーの議論であり、帝国主義と一般に呼ばれる対外政策は勢力を増大しようとする行動パターンのことなのです。 「これら三つの典型的な政治のパターンには、三つの典型的な国際政策が対応している。ある国家は現状維持政策を追求する。その場合、この国の対外政策は力を保持しようとする傾向をもつが、それは決して力の配分を自分の有利になるように変えるものではない。これに対し、現存の力関係を逆転させることにより、現にもっている以上の力を獲得すること―いいかえれば、対外政策によって力の状況のなかで自国に有利な変更を求めること―をその対外政策の目的とする国家は、帝国主義政策を追求する。また現に有する力を対外政策によって誇示しようとする国家は、カの維持あるいは増大のために威信政策を追求する」(同上、43-44頁) したがって、モーゲンソーは帝国主義を道義的、法的に否定することなく、権力闘争を生き残る上で国家がとり得る政策の一つだと捉えます。このよう...