戦場で味方の火力を巧みに敵に指向することは、どのような戦術を実施する上でも重要なことです。 第一線に立つ歩兵や戦車の立場から見れば、火力こそが戦闘力の根源であり、それを戦場で効果的に活用する戦術的能力は指揮官に欠かすことはできません。 このことは米軍の教範でも述べられており、具体的には「直接照準射撃及び間接照準射撃によって敵を制圧ないし殺傷することは、近接戦闘において勝利を収めるために必須の要素である」と論じられています(FM 3-21.8: 2-1) 今回は、第一線において正しく射撃号令を出す方法について簡単に説明してみたいと思います。 射撃号令(fire command) は射撃を指示し、統制し、連携させるために使われる号令であり、部隊として何を射つのかを明確にして火力を集中させることを可能にします。 射撃というものを歩兵部隊の指揮官、特に分隊長や小隊長の立場で見てみると、各人の判断によって行う射撃と指揮官の号令によって行う射撃の二つに区別することができます。 戦場で指揮をとる小隊が敵との交戦に入った状況を想定すると、まず応戦のために兵士たちが各人の判断で射撃を開始します。しかし、この応急的な射撃では兵士たちが選定した目標に対してそれぞれ射撃を行うため、小隊の火力が広い目標に向かって分散してしまいます。 したがって、より効果的に小隊の火力を集中させるためには指揮官が状況を判断した上で適切な射撃号令を出さなければなりません。 適切な射撃号令は次の要素から構成されています。 射撃号令の構成要素 ・注意喚起(Alert)射手が発令者の号令を受令できるように名前、番号等を呼称する。 ・目標位置(Location)発令者は射手に対して目標の方向を指し示す。 ・目標説明(Target Description)発令者は目標を特定し、それが複数ある場合には最優先で射撃すべき目標を説明する。 ・交戦方法(Method of Engagement)発令者は受令者が目標に対してどのような方法で射撃を行うべきかを指示する。 ・弾薬(Ammunition)もし受令者が複数種類の弾薬を持っていれば、どの弾薬を使用すべきかを指示する。 ・実施(Execution)発令者は目標が敵であることを再確認した後に、受令者の射撃を実施させる(FM 3-21...
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