一般に安全保障における活動で最も包括的な分析レベルは戦略であり、最も限定的なのは戦術であると考えられています。 戦術と戦略を別の次元として区別することは依然として重要なのですが、相互の密接な関連が見落とされる危険があります。 今回は安全保障学における戦略と戦術の領域を総合するために重要な、作戦という概念を考察し、それを消耗戦と機動戦という類型で分析したエドワード・ルトワックの論文を紹介したいと思います。 論文情報 Luttwak, E. N. 1980/1981. "The Operational Level of War," International Security , 5(3): 61-79. ルトワックがこの論文で提起した問題というのは、安全保障学では戦略という分析レベルが注目されているものの、作戦という分析レベルの重要性が見過ごされているのではないかという点でした。 ルトワックの見方では、戦略レベルにおける戦争と戦術レベルにおける戦闘という二つの研究対象を関連付ける上で、中間の分析レベルである作戦が重要であると考えられました(Luttwak 1980/1981: 63)。 しかし、この作戦についての研究を発展させるための専門用語が整理されていないという問題があり、そのことが研究を困難にしていたとルトワックは判断しています。 この問題への対策として、作戦を分析する方法として消耗戦(Attrition Warfare)と機動戦(Maneuver Warfare)に区別することを提案しています。 これら類型について論文では次のように説明されています。 「一般的に言えば、消耗は戦力が戦力に対して適用されることを必要としている。勢力を使用する上で効率を確実にするために目標が集中していることが求められるため、敵が攻撃を受ける時間と場所において敵もまた強力でなければならない。それとは反対に、相対的な機動の出発点は厳密に敵の戦力を回避することであり、しかる後に(物理的または心理的に)敵が弱点とする一側面に対して選択的な戦力を使用することである」(Luttwak 1980/1981: 64) したがって、消耗戦という作戦の形態では勢力の優劣が戦闘の勝敗に直結する点が特徴となるのですが、機動戦においては戦闘...
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