交戦規則の定義やその意義は必ずしも多くの人に知られていませんが、実際の防衛行動と深く関係する問題です。 というのも、政府で交戦規則を適切に策定することは、現場で活動する部隊が作戦を遂行できるかどうかにもかかわってくるためです。 今回は、交戦規則とは何かを考えた上で、それがいかに大きな影響をもたらすのかをフォークランド戦争における原子力潜水艦の事例で検討してみたいと思います。 交戦規則とは何か、その意義は何か そもそも交戦規則(または部隊行動規則)とは何かというところから考えていきましょう。 交戦規則は英語のRules of Engagement(ROE)の訳語として使われている用語であり、1980年代以降に米海軍を中心に使用されるようになり、現在では全軍的に使用されています。 その定義としては「陸、海、空軍の部隊が敵と交戦を開始し、あるいは継続する際の環境または制限を規定する政府の指針」と述べることができます(防衛大学校・防衛学研究会、1999年、43頁)。 この交戦規則が軍事的に重要な理由としては、それが通常の規則とは異なり、戦闘行動を直接的に規定する点にあります。 つまり、具体的に、いつ、どこで、誰に対して、どのような武力の行使ができるのかが、この交戦規則によって定められるため、現場の部隊の指揮官はそれに基づいて命令を出す必要があります(同上、44頁)。 この危機における交戦規則の意義を考察した研究者は次のように述べています。 「交戦規則は政策と自衛という相反する要求の間のバランスを維持しようとするものである。交戦規則は政策を確立するものでなければ、自衛の緊急要件を決定するものでもない。危機に際して政策はしばしば奇襲に対して脆弱な地域に部隊を配置することを求める。政治指導者は部隊を進出させることに伴う危険性を判断し、それに勝るだけの利益があるかどうかを決定しなければならない」(Hayes 1989: 57) この考察から分かる通り、交戦規則は指揮官の決心を妨げる一方で、政府の政策、つまり危機管理や対外政策の考え方を部隊行動に反映させる重要な意味もあるため、運用に当たっては慎重さが求められるのです。 フォークランド戦争における交戦規則の問題 フォークランド戦争におけるイギリス軍の行動(青色)とアルゼ...
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