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2018年6月2日土曜日

おしらせ 軍事学を学ぶ2018年6月号:次の戦争に備えるための陸軍改革

大変恐縮なことではありますが、電子雑誌『軍事学を学ぶ』の2016年6月号が配信されることになりました。

今号では陸軍改革を特集のテーマとして2本の論文を紹介しています。
また、書下ろしの記事として、軍事学とはそもそもどのような学問なのか、戦いの原則はどのように役に立つのかを解説した記事をそれぞれ2本掲載しています。

論文紹介・陸軍改革をめぐる動向

今号では次の戦争を見据えた陸軍改革を提唱する論文の紹介記事を2本掲載しました。
一つ目が「海洋国家の陸軍戦略と遠征作戦の意義」であり、ここで紹介している論文は今号の原稿を仕上げた後で賞を受けています。

海洋国家の国防にとって死活的な意義を持つのは、海軍で海上交通路を防衛することです。しかし、だからといって陸軍の意義を軽視してはならない、というところから著者は議論を展開し、海洋国家は海を渡って遠隔地に支配権を確立できる遠征可能な陸軍を持つことが重要だと指摘しています。

このような立場から著者はアメリカ陸軍の遠征能力の低下を厳しく批判しています。
第二次世界大戦が終わってから、アメリカ陸軍はその遠征能力を整理縮小してきた歴史があり、そのことで遠隔地に陸軍を送り込む能力が低下しています。

著者は湾岸戦争の際にこの問題が露呈したにもかかわらず、現在に至るまで積極的な対策を講じておらず、将来の戦争に対応することが難しくなる恐れがあると主張しています。

二つ目が「なぜ歩兵分隊を拡張すべきなのか」です。こちらの論文は戦術、特に歩兵戦術に関する議論が展開されており、第二次世界大戦後に定員が減らされた歩兵分隊を拡大すべきだということが主張されています。

そもそも歩兵分隊が戦後になって縮小された背景には、1946年に実施された歩兵会議による決定がありました。
この会議は第二次世界大戦の経験を踏まえて歩兵部隊の改革を進めるために開かれたものでしたが、著者は現代の観点から見て当時の歩兵会議の議論のほとんどが通用しなくなっていることを説明しています。

技術革新が進む中で陸軍の歩兵分隊の戦闘効率が低下しないようにするためにも、改革が急がれることが論じられています。

軍事学とは何か、戦いの原則

基礎講座「軍事学はどのような学問なのか」は、改めて軍事学という学問がどのような学問であるのかを一から説明した記事です。

日本において馴染みが薄い軍事学ではありますが、それが果たして本当に学問なのか疑問に思う人もいないわけではありません。
そこで、学問全体の中で軍事学がどのような位置付けを占めているのかを示した上で、軍事学の研究領域にどのようなものがあるのかを大まかに説明しました。

これまでにも、防衛大学校の『軍事学入門』で軍事学を解説する資料はありましたが、こちらではさらに踏み込み、国内外の図書分類法における軍事学の扱い方を紹介するといった方法で軍事学の世界をより広く、深く知るための資料としました。

基礎講座のコーナーでは、引き続き軍事学のことを学ぶためになる記事を不定期で掲載していきたいと思っています。

最後の解説記事「戦いの原則:1939年のポーランド戦役を読み解く」は、軍事学の基本概念の一つである戦いの原則について解説したものです。
これまでの戦いの原則に関する資料は、個別の戦闘を分析する戦術の研究に属するものが多かったのですが、こちらの記事では戦略の観点に立って戦いの原則から見たドイツ軍の勝利を説明しています。

戦いの原則が分析でどのような示唆を与えてくれるものか、それが戦争を理解することにどう役立つのかを学ぶための資料になると思います。

むすびにかえて

Amazonから『軍事学を学ぶ』を出すのはこれで2回目ですが、思いのほか多くの方々に読んでいただけたようで、大変ありがたく思います。
さまざまなご指摘、ご意見をいただきましたので、それらを踏まえてさらに内容を改善させたいと考えているところです。詳細については今号から始めました編集後記をご確認ください。

今後も『軍事学を学ぶ』では、他にはない記事を掲載していきたいと考えています。
なお、次号の特集ではロシアの戦略をテーマにして、それに関する最近の論文を紹介したいと考えています。

KT