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2015年8月20日木曜日

戦闘時における海軍の編成


海上戦力では艦隊(fleets)、部隊(forces)、群(groups)、隊(units)などの編成があることが知られていますが、それらは海軍の行政、管理を目的としたものであり、平常の編成がそのまま戦闘で使用されるというわけではありません。
実際の戦闘では事前に任務の遂行に必要な機能を持つ艦艇を部隊、群などに編成するという作業が必要となります。

今回は、米軍の教範を参考にしながら、戦闘任務で編成される海上部隊の類型を説明したいと思います。類型は五種類あり、それぞれ異なった機能を持つように考慮されています。

水陸両用任務部隊・水陸両用即応群(Amphibious Task Force/Amphibious Ready Group, ARG)

これは地上部隊を作戦地域付近の海域まで輸送し、着上陸作戦を支援する能力を備えた水陸両用艦艇で構成されています。
通常、水陸両用任務部隊は護衛に当たる水上艦艇または航空母艦戦闘群によって支援を受けており、規模も大きくなります。
しかし、水陸両用即応群はもう少し規模が小さいもので、これは海兵遠征隊(Marine Expeditionary Unit, MEU)等を輸送し、支援するための3隻から4隻の艦艇で構成されます(CGSC 2000: 12-3-12-4)。

航空母艦戦闘部隊(Carrier Battle Force, CVBF)

これは複数の航空母艦とそれを護衛する水上艦艇によって編成された部隊です。
15隻を超える大規模な勢力となることが普通であり、後に述べる2個以上の航空母艦戦闘群で編成するような場合もあります。
複数の航空母艦を協同させて使用するものであるため、海上戦闘において最も強力な打撃力を備えた部隊であると言えるでしょう(Ibid.: 12-4)。

航空母艦戦闘群(Carrier Battle Group, CVBG)

航空母艦戦闘群は航空母艦を中心に、そこから発艦する艦載機、護衛を行う水上艦艇と潜水艦によって編成されるものです。
攻勢、防勢のどちらにおいても海上作戦のほとんど局面に対応可能ですが、機雷戦能力にはかけています。
通常であれば、1隻の航空母艦または原子力航空母艦に対して、6隻の巡洋艦、駆逐艦、フリゲート(内最低でも3隻はイージス・システム搭載)、2隻の潜水艦が共に行動します。
これらの戦闘艦艇に対する後方支援のため、1隻の高速戦闘支援艦(Fast Combat Support Ship)も含まれています(Ibid.)。

海上遠征部隊(Naval Expeditionary Force, NEF)

海上遠征部隊の特徴は、短期間ではありますが敵が支配する沿岸地域の付近で単独行動ができることですが、それは先ほど述べた水陸両用任務部隊と航空母艦戦闘群の機能を結びつける重要な役割を果たすためです。
つまり、海上遠征部隊の機能は、航空母艦戦闘群が勢力投射能力を発揮することで沿岸付近の海域における航空優勢、海上優勢を確保している間に、敷設された機雷を掃討するなどの処置を行って、水陸両用任務部隊が着上陸作戦を遂行できる状況を整えることです。
そのため、海上遠征部隊を編成する際には機雷戦に対応した艦艇が組み込まれます(Ibid.)。

水上任務部隊・水上任務群(Surface Task Force, STF; Surface Task Group, STG)

水上任務部隊は航空母艦を含まない水上艦艇、巡洋艦、駆逐艦、フリゲートから成る部隊のことを指します。
この部隊は固定翼機を使用する能力を持ちませんが、回転翼機を運用することならできるため、目標の捜索や掃海など幅広い任務で使用することができます(Ibid.)。

艦艇の種類(航空母艦や駆逐艦、潜水艦など)と比較すると、このような海上部隊の類型の重要性は理解しにくいかもしれません。
しかし、外洋で行動するCVBFとCVBG、沿岸で水陸両用作戦を支援するARG、そして両者の作戦領域を横断して行動するNEFの役割分担が示唆しているように、海上戦力も任務と作戦地域の特性を踏まえた編成を選択しなければ、うまくその戦闘力を発揮することができません。

その艦艇が戦術レベルでどのように運用されているのか、という問題だけではなく、作戦レベルでどのように運用されているのかを考えるためには、こうした類型を知っておくことが役立つのではないでしょうか。

参考文献
U.S. Army Command and General Staff College. 2000. Battle Book, Fort Leavenworth: U.S. Army Command and General Staff College.

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