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2015年5月7日木曜日

戦争のレベルとは


戦争のレベル(levels of war)とは、戦略の目標と戦術の行動との関係を明確化するための枠組みです。
戦略、作戦、戦術という三つの領域にはっきりとした境界線があるわけではないのですが、これらを理論的に区別することは軍事上の問題を研究する上で極めて重要です。

今回は、戦争のレベルに基づいて軍事分析を展開するに当たり、戦略、作戦、戦術がどのように定義されているかを紹介したいと思います。

第一に戦略は国家が決定した国策を遂行する上で国力を活用する方法であり、政略的な考慮に基づいて策定された政策を軍事上の作戦行動へと移し替えるためのものです。

米軍の教範によれば、「軍事作戦の文脈において、戦略は同調的または統合的な方法によって、地域的、国家的、国際的な目標を達成するために国力の手段を運用するためのアイディアを発達させるもの」として規定されており、国家指導者の責任によって決定されることが論じられています(JP 3-0: I-13)。

第二に作戦は戦略上の目標を達成するために部隊の戦術的な運用を決定する方法です。作戦は、いつ、どこで、どのように戦力を使用するかを考える上での標準的な単位の一つですが、戦略よりも小規模な軍事行動を考えるものであり、かつ戦術よりも大規模な軍事行動を考えるものであるという特徴があります。

教範によれば、戦争のレベルとしての作戦は作戦術(operational art)の概念と結び付けて理解されており、作戦術は「戦略、戦役、大作戦、会戦を設計、組織、統合、指導することを通じて戦略の目標を達成するための軍隊の運用」として述べられています(JP 3-0: I-14)。

第三に戦術は戦闘における部隊の運用です。戦術は作戦よりもはるかに微視的な戦争のレベルであり、戦術の主眼は戦闘力を最大限に発揮するために、敵との相互作用を考慮しながら、兵員、武器、装備を組み合わせて一連の交戦を組織化する意義があります。

教範を参照すると、戦争のレベルにおける戦術で取り扱う「交戦は非戦闘の任務または行動から、通常ならば短期の行動で敵対する部隊の間の戦闘までの幅広い種類を包括しうる」とされています(JP 3-0: I-14)。

戦争のレベルを適切に選択することができれば、自分の関心に応じた軍事分析を展開することができるようになります。例えば、戦略レベルの軍事行動に関心があるのであれば、局地的な戦術は問題とはなりません。

参考文献
U.S. Department of Defense. 2011. Joint Publication 3-0: Doctrine for Joint Operations, Washington, D.C.: U.S. Government Printing Office.

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