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2015年5月27日水曜日

ウェーバーの古代国家論と軍事制度

紀元前865年-860年、古代王国アッシリアの軍勢が攻城武器で城砦を攻撃している様子を描写したレリーフ。
今回は、社会学者マックス・ウェーバーの古代国家論と軍事制度の関係に関する議論を紹介したいと思います。

まず、古代の国家がどのように成立したのかという問題を研究するためには、都市の形成過程を考える必要がありました。なぜなら、古代国家の最も重要な形態は都市国家だったためです。

ウェーバーは最も初歩的な都市の形態として防壁を備えた家族共同体または村落を考えました(ウェーバー、57-58頁)。
このような国家の形態の下では軍人と市民の区分は必ずしも明確ではなく、ほとんど軍事制度は発達していません。

しかし、国家形態がさらに発達すると、軍人と市民の区分は身分としてより明確なものとなると考えられています。
ウェーバーの説によれば、防壁を備えた集落がさらに都市化すると、王権に支配された城砦国家に変化するとされています。

この城砦国家では、共同体の生存を確保するための城砦が国王によって所有されてます。
国家の内部には二つの武装する身分と武装していない身分が形成され、国王の地位は軍人の統帥者として地位と緊密な関係にあります(同上、58-59頁)。

この国王は共同体の中で特に大きな土地、奴隷、資産を個人的に所有しているものと考えられていますが、その理由は国王の部下に配分する必要があるためです。
軍事支出を引き受ける個人が国王としての地位を引き受けるため、統治を受ける住民は臨時の賦役や貢納を要求されるものの、城砦国家の中で生活を営むことが可能となります(同上、59-60頁)。
「つまり最大の財産を擁する墺が自分以外の城塞支配者たちを自分自身の家臣としてしまう。これこそほとんどすべての古代の国家の開始にほかならない」(同上、60頁)
このような原始的な王権がさらに発達すると、国王は巨大な軍隊を管理するために必要な官僚機構を整備します。その結果として、城砦都市はこの官僚の居住地へと性格が変貌していきます。
この段階にまで至ると、最初の素朴な国家形態の特徴はほとんど消失し、都市国家としての体制が完備されるようになります(同上、61-62)。

国家は住民に賦役によって労働力を提供させるか、もしくは貢納によって生産物を提供させる権限を行使して資源を動員します。
この資源を官僚機構を通じて体系的に配分することにより、その国家は一集落の規模では決して整備することができない巨大な軍備を運用することが可能となるのです(同上)。

ここで紹介したのはごく一部の古代国家の類型に過ぎませんが、ウェーバーが国家形態と軍事制度には一定の相互関係があったと考えていることが分かるのではないでしょうか。

つまり、国家は一定の領域に対する支配を確立するために軍備を必要としますが、優れた軍備を継続的に整備するには、軍事行政に必要な支出をより体系的に管理する官僚機構が不可欠となり、国家の制度もその軍事行政上の要求に適したものに変化していくのです。

このようなウェーバーの議論は単に古代国家だけの問題ではないと私は考えています。
現代においても軍隊と国家の関係は不可分に結びついていて存在しています。現代の国家体制の問題を考えるためにも、その国家がどのような軍事制度を導入しているのかを分析することは重要なことです。

参考文献
マックス・ウェーバー『古代社会経済史』弓削達、渡辺金一訳、東洋経済新報社、1959年

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