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2014年8月29日金曜日

ドゥーエが考える航空作戦の原理とその応用


今回は現代の航空戦略の基礎を築いたイタリアの軍人、ドゥーエの著作『制空』の一部を紹介したいと思います。

ちょうど第一次世界大戦の経験から航空機の軍事的価値が認められ始めた時期において提出されたドゥーエの航空戦略の理論は画期的なものでした。

それは陸軍や海軍の一部隊として航空戦力を置くだけではなく、航空戦力それ自体の長所を発揮するためには、独立した空軍が必要であることを主張するものだったためです。

ドゥーエの説によれば、空軍を運用する際の戦略上の基本原理は次のように定められています。
「攻撃による物理的、精神的な効果は攻撃の場所と時期とを集中させたときに最大となる」
ここから、ドゥーエは航空戦力を陸海軍に分離して運用するのではなく、独立した空軍として集合して運用するべきという原則を導いています。

なぜ、空軍は集中して運用されなければならないのか、という疑問について答えるためにはドゥーエの考える航空作戦の仕組みを理解しておく必要があります。

ドゥーエは航空作戦の計画方法について次のように説明しています。
「直径500メートルの地域を破壊することができる爆撃部隊を50個保有する空軍は1回の飛行で居住地域、倉庫、鉄道センター、工場、その他の50個の敵の目標を完全に破壊することができる。 
空軍が集中して行動できる範囲が決定すれば、この領域にある目標を分析する。最大効果を得る原則に従って、この地域をそれぞれに50の目標を含む破壊地域に分割する。 
例えば10個の破壊地域に分割することができたとすれば、それは敵の領域にある全ての目標の破壊に10日間の作戦が必要であることを意味する。次に破壊地域の攻撃順序を決定する」
ここでも説明されている通り、ドゥーエは航空作戦の最も重要な部分は我の航空優勢を確保することを通じて、敵地の重要な施設を爆撃部隊で攻撃することであると考えていました。

彼我の爆撃部隊が敵の地上目標に投下できる爆弾の総量が等しく、また彼我の軍事拠点を破壊するために同程度の爆撃効果が必要であるならば、その航空作戦の成否を分けるのは、どちらが先んじて敵の軍事施設や重要拠点を破壊するかどうかということになります。

ドゥーエは一刻を争う航空作戦において航空戦力が分割されていると、敵地を攻撃するための運用で致命的な遅れが生じることを懸念していたということです。

こうしたドゥーエの航空戦略の理論は現代においても重要な参照点となっています。
特に現代でも確実な防御手段が確立されていない弾道ミサイルの運用に関しては、ドゥーエの理論には未だに有効な部分が少なくありません。

ただし、防空に関する技術革新により、空軍においても防御者が優位に立つことが可能な局面が見られるようになりましたので、最近の研究ではドゥーエの理論の全てが現在でも通用するというわけではないということも指摘されるようになっています。

KT

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