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2014年7月21日月曜日

安全保障における計画の意義


安全保障において計画のあり方は常に議論されてきた問題でした。
どの国家でも戦時と平時において各々内容が異なる二種類の計画を使用しています。

戦時に使用する計画は部隊の作戦行動について幕僚が作成する軍事計画(Military Plan)、戦争計画(War Plan)または作戦計画(Operational Plan)であり、平時に作成する計画は国家の防衛政策について官吏と幕僚が協働して作成する防衛計画(Defense Plan)と呼ばれます。

計画は安全保障の実践と密接に関係する問題なのですが、そもそも計画を持つことはどのような意義があると言えるのでしょうか。

一般的に見れば、計画は独立した活動なのではなく、管理の一要素に位置づけられています。
管理には計画、組織、統制、通信という四つの機能があり、これら四つの機能を総合的に発揮しなければなりません。

具体的に見ると目標を設定するのが計画であり、計画を実行するために人員を組織化し、組織への指示や監督を通じて行動を統制し、統制を徹底させるために報告や連絡を円滑にするという流れになります。

したがって、計画それ自体が重要なのではなく、組織や統制、通信との関連の中において重要な要素であることを理解しなければなりません。

もし計画がなければ、組織は独自の判断で行動し始め、命令や指示は絶えず状況によって変化し、業務の成果報告や現場で収集された情報伝達を集約することが困難となります。結果として組織的な活動が阻害されてしまうのです。

非常に興味深いのは無計画な組織が緊急事態に直面すると、直ちに対応するための計画を立案するのですが、その計画によって大きな浪費が発生する傾向が一般的に見られると指摘されていることです。

こうした過少な計画から過大な計画が発生することは、「雪玉理論」とか単に「雪玉現象」と呼ばれています。
その理由はいろいろと論じられているのですが、その一つに見積の過剰という要因があります。

例えば戦争計画を持たないまま突然に敵対する国家と戦争が勃発した場合、計画立案のためには部隊、装備、弾薬、糧食、燃料などの「見積」を作成しなければなりません。

しかし、計画立案の担当者は「見積」が甘かった場合には責任を問われることになるだけでなく、突発的な事態による不安や情報の不足、不測事態への恐怖などから見積に相当程度の「余剰」を付け加える気持ちが強まります。

結果として応急的に作成される計画によって、しばしば大量の無駄な発注や調達を引き起こし、予備のための備蓄として考えても過剰な物資や装備を抱え込んでしまうことになるのです。

研究者のエクルズは太平洋戦争で米軍が奇襲を受けたこと、米海軍の調達計画に不備があったことなどを指摘し、戦時中に一度も使われることがなかった駆逐艦が大量に生産されたことを事例として挙げながら、こうした計画の不備による雪玉現象を説明しています。

時として日本では防衛計画や作戦計画の調査研究に対外的配慮が欠けているとして批判する議論がありますが、無計画な安全保障は非常に高い支出を求められることを理解しなければなりません。

計画を立案研究することは安全保障の政策実務において中心的な業務であり、またそれは国民が負担する財政支出を最小限に抑制するために不可欠な作業とも言えるのです。

KT

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参考文献
Fallows, J. 1982. National Defense, New York: Random House.
Bonn, K. E. 1992. ''Planning, Military,'' International Military and Defense Encyclopedia, New York: Brassey's, pp. 2149-2153.
Eccles, W. E. 1959. Logistics in the National Defense, Harrisburg, PA: Stackpole.

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