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2014年5月11日日曜日

人口と軍事力


今回はちょっとした話題ですが、人口と軍事力について考えてみたいと思います。

軍事参与率という言葉があります。これは総人口1名に対して軍事要員がどれだけいるのかという百分率です。定義としては、軍事参与率=(軍事要員/総人口)×100なので、資料さえあれば簡単に求められます。

日本の総人口は1億2600万名程度ですが、自衛隊の勢力は24万7000名程度です。
したがって、日本の軍事参与率は0.19%です。(小数点の3位以下は切捨てています)
これは社会の成員がどれだけ多く兵士となっているかを統計的に概観するものだと考えて下さい。

ちなみに2007年の統計資料によると、アメリカの軍事参与率は0.49%、イギリスは0.31%、フランスは0.41%、ドイツは0.29%、ロシアは0.72%、中国は0.17%、台湾は1.26%、韓国は1.41%、北朝鮮は4.59%です。
中国の軍事参与率が日本より低いというところが、中国の人的資源の豊富さを物語っています。
こうした値から、各国の軍事政策の傾向、特に兵役制度の実態を知ることができるかと思います。

興味深いのは、徹底した徴兵を実施している北朝鮮ですら総人口のうち兵役に利用できる人的資源が5%弱しかないということです。
恐らくは国民の男性で兵役適格者の限界量がこの5%なのではないかと思います。

こうした統計量をさらに幅広く調査してみると、次のような興味深い傾向が分かります。
次の図は1815年から現在にかけて世界各国の軍事要員(milper)の人数:Y軸と総人口(tpop)の人数:X軸(両方とも単位1000名)の資料を統計処理したデータを散布図で表したものです。


これは1815年以後の年にかけて全ての地域の国家をサンプルとしていますので、総人口に対する軍事力の規模に関する政策決定のパターンを大雑把に表した図表だと考えていただいて良いと思いますが、この図で興味深いのは総人口と軍事力の関係には二つの異なるパターンがある点です。

一つは総人口が小さいにもかかわらず飛びぬけて大規模な軍事力を保持するパターンで、もう一つは人口が大きいにもかかわらず軍事力の規模が抑制されています。

ここから私の蛇足の解釈になりますが、第一に総人口に比例して軍事力が増大するという単純な相関関係はここでは見られないということです。人口の増加があっても軍事力を一定の範囲内に抑制する傾向が見られます。

第二に総人口が限られているにもかかわらず人的資源を総動員して500万名から1000万名の規模の軍事力を編成した事例が確認できます。調べてみると、いずれも第二次世界大戦の交戦国のサンプルだったことを付け加えておきます。

最後にまとめますと、軍事力の規模は総人口だけで決定される傾向は統計的に見られません。
これがなぜかを考えてみると、現代の作戦が人的資源よりも物的資源に大きく依存しているためではないかと私は推測します。

しかし、一部の研究者は人口が戦争の勝敗に影響を及ぼす度合いは戦争の形態によって変化するとも指摘しています。
日本の少子高齢化が進む場合、外国人労働者を導入する施策も検討されているようですが、根本的な問題である少子化の問題を解決できなければ、将来の日本の防衛力整備にとって深刻な課題となることでしょう。

KT

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