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2014年5月1日木曜日

地政学のすすめ

地政学の研究で知られるマッキンダーの地図。
ユーラシア大陸の中央で強調されているのがハートランド。
地政学は最近になって国民の常識になりつつある国際政治学の研究の一つだと思います。
それは非常に喜ばしいことであって、私としても地政学の研究には多くの時間を費やしてきたので、そうした盛り上がりに少しでも寄与できれば幸いです。

地政学というのは一言で言うと、国際関係を地理的な要因で説明する手法、もしくはその手法を用いた国際政治学の研究領域のことを言います。

国際政治学を専攻する場合、とりあえず基礎として地政学を学んでおくメリットとして、その国家がどこにあるかを覚えてしまうというのがあります。

地理を十分に勉強しないまま国際政治学の研究をしようとする学生もいるのですが、自分の研究対象とする地域にある国名くらいは熟知しなければ、地域研究など到底不可能なことは理解しておく必要があります。

地政学の基本概念についてですが、次の三つが特に重要です。

ハートランド ユーラシア大陸の内陸部にあって沿岸地域から直接的には接近できない地域。
今ロシアの内陸部から中央アジア地域がここに含まれます。

リムランド ユーラシア大陸の沿岸部にある地域で、ハートランドを取り囲む地域。
ヨーロッパ、中東、インド、東南アジア、中国沿岸部、朝鮮半島がここに含まれます。

シーレーン ユーラシア大陸それ自体を囲い込む海上の航路帯。
リムランドの外側にある海上交通路が含まれます。

地政学が一般に基礎とする考え方というのは、「ハートランドを支配する大陸勢力と、シーレーンを支配する海洋勢力がリムランドの支配をめぐって絶えず競合している」というものです。

現在、地政学的な大陸勢力であるロシアは、海洋勢力であるアメリカがリムランドの西端である東ヨーロッパをNATO、EUに再編成することを阻止しようとしていますが、ベラルーシとウクライナ以外のほとんどはすでに失われており、それがハートランドの支配にとって脅威になっているという情勢判断になるわけです。

こうして考えれば地政学の分析は決して難しいものではありません。極端に言えば、地政学的に重要な地域を覚えてしまい、あとは大陸勢力と海洋勢力の勢力均衡という構図を当てはめればよいのです。

実は地政学を学ぶ上で最大の問題は地政学それ自体ではなく、地図を正確に読む能力が問われる点なのです。
正確な地理上の知識によって裏付けられなければ、地政学は体裁の良いプロパガンダに堕落してしまいます。

もし熟練した地政学の研究者であれば、キエフとモスクワの間にどれだけの都市が分布し、その間の鉄道、幹線道路の配置を脳裏に呼び起こし、ロシア軍が進攻経路として使用する可能性が高い経路がどれかを特定することができるでしょうし、もしアメリカ軍が真剣に軍事行動を起こす場合、どの国家に軍事通行権を要求しなければならないかを判断することもできるでしょう。

もし地政学を研究する前からこうした能力を身に着けている方がいるならば、それは称賛するべき素晴らしい「戦局眼」です。
しかし、そうでないならば地図を読む習慣を身に着けることから始めなければなりません。

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KT

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