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2014年4月11日金曜日

世界の価値観を統計で見ると


今回はこうした文化や国民性について統計調査を行った成果について紹介し、安全保障との関係について少しだけ触れたいと思います。

1980年代にヨーロッパの大学を中心に国民の「価値観」を統計的に調査する研究が進んだのですが、現在、「世界価値観調査(World Values Survey)」という研究プロジェクトの下で、こうした調査が世界規模で行われるに至っています。



この図は2012年に政治学者が調査結果を元に作成、公開したもので、X軸は自己表現/生存自活の価値観、Y軸は宗教・伝統/世俗・合理の価値観を表しています。

基本的な見方としては、上に行くほど世俗的、無宗教的な価値観であり、右に行くほど自分自身の個性を表現する開放的な価値観だと判断することができます。

見てみると、日本(Japan)はX軸の0.4、Y軸の2の座標付近にあります。図の一番上のほうにある点です。

この調査結果を初めて見た時に私が意外だったのが、日本と価値観が最も近い国がヨーロッパにあったことです。
この図で価値観が一番近いのはドイツ(Germany)とチェコ(Czech)で、その次に近いのはノルウェー(Norway)となります。

東アジアに限定すれば、価値観が最も近い国は香港(Hong Kong)、台湾(Taiwan)、その次に中国(China)で、韓国(S. Korea)が最後に来ます。当然のことではありますが、北朝鮮は調査対象に入っておりません。

こうして全体の分布図の中で日本が占める位置を見てみると、かなり日本という国は世界の中で世俗・合理の面では「極端」に位置する価値観を持っているようにも見えます。日本のように世俗・合理の点が高い国を見れば、他にはスウェーデンが挙げらえる程度です。

異文化理解や国民性に関する本格的な調査研究は安全保障学でも盛んになった時期があるのですが、それは冷戦期のソ連研究がきっかけでした

ソ連の戦略を分析する中で、アメリカ人たちがロシア人の戦略に関する考え方には何らかの文化的な相違が関係しているのではないか着想し、それが発端となって研究が進みました。
現在の国際政治学では戦略文化論とか、構成主義という名前でこの研究プログラムは知られています。

こうした研究は分析対象を定量化するのが難しいので、まだ十分な証拠で基礎づけられているわけではないのですがこうした統計調査から判明する事実がこれから増えれば、その国家の戦略の傾向性について文化的な説明が重要な位置を占めるようになるかもしれません。

少なくとも現在の調査を見る限り、日本の価値観が世界の大多数の国から見た場合に、かなり特殊な傾向であると自覚することが必要なようです。


KT

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