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2014年4月3日木曜日

戦技なくして戦術なし


上の分隊教練の写真に見られるように、軍隊ではあらゆる動作が標準化されています。これは現代の経営学でも盛んに応用されている管理科学の理論に基づいています。

軍事組織における標準化を理解するために、戦術、戦技、準則という言葉を紹介したいと思います。
三つの概念は次のように定義されます。

・戦術(Tactics)とは戦闘において諸部隊を展開することをいう。
・戦技(Techniques)とは所定の任務と機能を果たすように部隊、指揮官によって用いられる全般、詳細の方法をいう。
・準則(Procedures)とは任務を遂行する方法を表した標準的かつ詳細な行動方針をいう。

(米軍の文書ではこれらの頭文字を取ってTTPと略することもよくありますが、例の貿易交渉とは関係ありません!)

さて、なぜこのような分類が必要なのでしょうか。

戦術とは本来、戦略・作戦の下位において、その特定の状況に固有の条件があるために絶えず異なった状況判断を要求されるのです。しかし、戦技と準則というものはそれほど状況判断力を必要としないためなのです。
というのも、戦技や準則とはあらゆる状況において繰り返し適用できる行動をまとめたものとして作成されているためです。

教範には次のように解説があります。
「特定の問題に対するあらゆる解決はこれら戦術、戦技、準則の独特な組み合わせであるか、もしくは状況の重要な評価に基づく新規の考案である。戦術家は訓練や作戦で得た経験に立脚しながら、教義と既存の戦術、戦技、準則の習得を通じて、自らの解を決定するのである」
つまり、戦術とは創造性を要求される問題解決であり、そのためには定式化されて操作可能な技能や行動パターンが基礎となるということです。

丘に陣取った敵の防御陣地に対して1個の歩兵小隊が攻撃を仕掛ける状況を想定しましょう。
全く何の標準化も行われていない場合、その小隊を攻撃のために配置につかせるだけで、どれだけの煩雑な命令を出さなければなりません。

例えば各分隊員が前進する号令はどうするのか、前進する際の姿勢はどうするのか、戦闘中の制圧射撃ができたことや前進準備ができたことを伝達する方法はどうするのか、細部にわたるこうした指示を出すことは煩雑であり、時間がかかり、しかも各自の理解が徹底できていない可能性があり、信頼性に欠けたものです。

事前に教範や訓練で予め標準化された動作や部隊行動として戦技やSOP(標準行動準則)が確立できていれば、それらを基本に部隊の動作を組み合わせることで複雑な作戦が可能にしているのです。

これを錬成するためには長い時間と大きな労力が必要であり、それには戦闘職種、戦闘支援職種、後方支援職種いずれの場合にも当てはまります。

というのも、現場ではこの種の戦技や準則が演習を通じて絶えず見直され、必要に応じて上に報告や提案を行い、またそれを演習で点検するという繰り返しが必要だからです。
したがって、その部隊のTTPの水準は幹部よりも下士官に負うところが大きくなります。

戦略、戦術、兵站に関する高等な軍事理論の研究においてはTTPの適否の議論は省略せざるを得ません。
しかし、勝利とは本来こうした地道な努力の積み重ねであることは常に銘記されておくべきではないでしょうか。


KT

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