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2014年3月27日木曜日

台湾が中国になる日

Mearsheimer, J. 2014. ''Taiwan's Dire Straits,''p. 32.
最近の日本の報道でも台湾で学生デモが発生していることが報じられるようになりました。
それでも日本国内での台湾情勢の認知度は高いとは言い難いので、今回は台湾の戦略態勢に関するミアシャイマーの分析を紹介し、それについて若干の情報を提供し、皆様の情勢判断の一助にしたいと思います。

今年、アメリカの著名な政治学者ミアシャイマーが最初に発表した論文が台湾に関する論文でした。その論文「台湾の危機」で指摘されているのは基本的に次の一点です。
中国の台頭が持続することで、台湾にとって不利となる重大な事態が発生するであろう、ということです。

ミアシャイマーの分析によれば、もし中国が経済運営に失敗して軍拡の手が緩まない限り、中国が東アジアの地域覇権国家に成長することは避けられず、「本質的に台湾にとって事実上の独立を維持する最良の方法は中国に対して経済的にも軍事的にも脆弱になることである」と論じています。そうでなければ、中国は台湾の事実上の独立をはく奪する利益があるためです。

「かつて有識者は中国は国際社会において責任ある関係者となり、隣国はほとんど憂慮しなくてもよいと論じた。多数の台湾人がこの楽観的な展望を抱いていたし、今なお一部の台湾人はそう思っている。彼らは間違っている。中国との貿易により中国が経済大国に成長することを助けることによって、台湾は巨人が成長することを助けてきた。その修正主義的な目標には台湾の独立を終わらせ、中国の一部に統合することも含まれている。要約すれば、強大な中国は台湾にとって単なる問題なのではない。それは悪夢なのである」
私たちが今目の前にしているのは中国の台頭という歴史的な出来事によって、その独立国家としての存亡の危機に直面した小国の歴史に他なりません。
それだけでなく、長年にわたって台湾の実質的な独立を支えてきたアメリカが、中国との関係を強化する方向へ動いていることも、重大な事実です。

1945年に台湾の政権が日本から中華民国へと移行して以来、台湾は米軍の軍事顧問団の指導の下に軍事力を整備し、第7艦隊とマニラの第13航空隊と密接に連携してきました。
2013年の資料によれば、中国軍の勢力現役233万3000名、予備役51万に対し台湾軍の勢力は現役29万名、予備役165万7000名です。駐留する外国軍は歩兵隊や砲兵隊を基幹とするシンガポール軍の小規模な分遣隊に留まっているに過ぎません。

外交関係を少し説明すると、米中の国交を樹立したのに伴って1979年に台湾と国交を断交し、それまで台湾と結んでいた米華相互防衛条約を破棄しました。そこでアメリカは「台湾関係法」を成立させて台湾への軍事援助を行うもその直接的な共同防衛の義務はなくなったということです。

1980年代以後、台湾は「防御固守、有効抑止」の戦略を掲げて防勢戦略を採用していますが、台湾軍の多くの装備が既に旧式化しており、全般の軍事力については別の機会に述べるかもしれませんが、主力戦車全283両のうち53両がM60A1で、125両がM60A3、105両がM48A5であり、いずれも冷戦時代に調達した装備であるということだけ指摘しておきたいと思います。

さまざまな不確定要素がありますが、現在の状況が続けば香港やマカオのように台湾は中国に段階的に統合されると予測されます。それを防止するために必要なアメリカの政策は当面変わる見込みがありません。

現在の台湾の状況から私たちはその教訓を学ばなければなりません。
台頭する中国に向き合うために、全ての関係諸国には相当の戦略と準備が求められているのです。

参考文献
Mearsheimer, J. 2014. ''Taiwan's Dire Straits,'' The National Interest, 130(March/April), pp. 29-39.

KT

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