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2014年3月31日月曜日

論文紹介 潜水艦の戦略的な可能性

USS Nautilus (SS-571), 01/20/1955.
Source: http://arcweb.archives.gov/arc/basic_search.jsp, ARC Identifier: 
今回はシーパワーとしての潜水艦の進化とその可能性について検討した論文「海上戦における潜水艦」を紹介したいと思います。

論文の著者はローテンシュレーガーで、1986年の論文なのですが、海洋戦略における潜水艦の機能を総合的に分析した研究として優れた内容であり、現在でも参考文献の一つとして位置付けることができます。

文献情報
Lautenschlager, K. 1986/1987. "The Submarine in Naval Warfare, 1901-2001," International Security, 11(3):94-140.

目次
1.潜水艦の特性
2.能力の発展
3.沿岸防衛
4.消耗作戦
5.通商破壊
6.技術的均衡
7.戦力投射能力
8.艦隊戦闘
9.確証破壊
10.潜水艦の将来
11.結論

この論文で展開されているローテンシュレーガーの議論で特に興味深い部分は、シーパワーを構成する他の艦艇に対して潜水艦が全く固有の戦略的性格と戦術的原理を持つ艦艇であり、そのために本質的に水上艦艇を中心とした艦隊と分離した運用が最も望ましいと主張しているところです。
「潜水艦の歴史において、潜水艦は水上艦艇から分離して併存することにより最高の活躍を見せてきた。この分離性という非常に面倒な側面は英米的な海軍の戦闘教義の基本的な考え方に挑戦するものと思われる。なぜなら、最も成功した潜水艦の戦略は古典的な海上戦のモデルを認めないためである」
歴史上の海軍は伝統的に対水上戦闘の機能を中心とした戦力組成で艦隊と艦艇を設計してきました。

海軍史で潜水艦が成立した時期については諸説ありますが、ローテンシュレーガーは軍事的導入の時期として1910年頃ではないかと述べています。

つまり、成立から非常に短期間で、潜水艦は海上戦闘と海洋戦略の前提を一変させたということになります。

戦略的に見た場合の潜水艦の利点は潜水艦が持つ隠密性、奇襲能力、高確率な第一撃能力にあり、また戦術的に見れば戦術偵察能力や目標捕捉能力に依拠しています。

しかし、こうした能力を発揮するためにはローテンシュレーガーは海軍戦略が「不正規戦争」に依拠しなければならないと指摘します。そして、この大前提こそが従来までの海軍戦略の理論と決して適合できない部分なのです。

私たちのシーパワーについての考え方の多くはマハンの理論に依拠していると言われています。

これは航空打撃戦力の意義を説明する上で非常に適合する考え方ですが、もしマハンが潜水艦の存在を知っていたら、それはどのような位置づけとなったのでしょうか。

ローテンシュレーガーの議論は海軍のあり方そのものに関わる問題を提起するものなのです。

KT

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