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2014年3月19日水曜日

戦争は地獄である、特に防御陣地の手前は

いつもお越し下さり、誠にありがとうございます。今回は防勢作戦の基本となる戦術、地域防御について紹介したいと思います。

以前まで攻勢作戦の戦術について解説してきましたが、防勢作戦のほうにも同じように戦術上の問題があります。
いつも通り定義から見て行きたいと思います。

「地域防御とは敵を徹底して撃滅するよりも一定時間において所定の地形に敵が接近することを拒否することに集中した防勢作戦の一種である」(FM 3-0)

教範によれば、地域防御の基本的な原則として作戦地帯に相互に掩護し合う陣地を計画的に組み合わせて配置し、また増援や逆襲のための予備を後方に拘置することにあります。
つまり、地域防御だからといって、それが完全に受動的な戦術概念だと考えることは誤りなのです。

例えばジョミニも「防勢の軍にとって最良の手段は攻勢をいかに実行するかということを知り、それを実行することである」と議論しています。
つまり、地域防御においても指揮官は状況をよく判断し、突出し過ぎた攻撃部隊への逆襲、奪取された防御陣地の回復、損害が大きい部隊への増援といった方法で敵に損害を強いることが求められるのです。

図上戦術としての地域防御の概念を紹介したものが上の図です。
この作戦地区は上から順番に警戒地区(灰色)、主戦闘地区、後方地区というように分けられています。
警戒地区には青軍の偵察部隊が配置されており、赤軍に最も接近していることが分かります。これはいわば敵が主力に到達する前に予め察知するための陣地で、ここで防御戦闘を行うことは計画していません。

次の下の主戦闘地区は2個の青軍の部隊が配置されています。地域防御では予めここで敵の攻撃部隊が到達することを想定して、ここに重点的に火力を集中させることになります。その背後の後方地区にあるのが予備と後方支援のための部隊が2個あることが分かります。
この地域防御の概念を例えば特定の地形においてもう少し詳細に図示すると次のようなものになります。

これは旅団(部隊符号はX)が地域防御を行っているのを図上で示していますが、前方に警戒地区、その背後に3個の大隊(部隊符号はII)が制高地、つまり小高い山頂に陣地を構築して配置にあることが分かります。その背後にあるのが後方地区で、そこに空港施設と作戦基地が所在するという状況です。

少し応用的な話ですが、側面陣地について少し話しておきます。主戦闘地区の三つの陣地が接続していないのが危険と判断する方もいるかもしれません。しかし、これらの陣地を避けて間の谷間に前進するとたちまち側面攻撃を受けるだけでなく、後方地区からの予備が投入されて前進経路を塞がれてしまうと三方向から脅威を受けることになり極めて危険なのです。

ちなみに今回扱った地域防御は作戦地区を限定した上で議論していますが、下の図のような地域防御もあります。もはやドイツ軍のスターリングラードの戦闘を思い出さざるを得ません。


最後に、地域防御の戦術で重要なことは敵が我を攻撃せざるをえなくさせることです。
なぜなら、敵にとって防御陣地を無理に攻撃するよりも、それを迂回することが合理的だからです。つまり地域防御では地形判断と陣地選定が重要な意味を持っているのです。
少なくとも我の両翼に対する攻撃が不可能な人為的、自然的な障害を利用することが必要となります。

敵を迎え入れつつ、その進入を拒否すること、これが防御における戦理上の原則です。

KT

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