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2014年3月13日木曜日

側面攻撃は正面攻撃に優越する


今回は戦術概念の一つ「側面」について紹介したいと思います。
すでに本ブログでは攻撃を行う場合に機動の方式から
包囲Envelopment」
突破Penetration」
迂回Turning Movement」
の三種類が代表的だということは既に紹介しました。
これは陸自の戦術学の教範『野外令』の区分に基づくもので、米陸軍の教範はさらに攻撃機動の方法として「正面攻撃」と「浸透」を加えています。

攻撃はその方向によって「正面攻撃Frontal Attack」、「側面攻撃Flank Attack」、「背面攻撃Posterior Attack」に分類されます。今回取り上げる側面攻撃はこうした種類の分類に基づく攻撃の一種であり、背面攻撃を含ませて側背攻撃と呼ばれる場合もあります。

陸上戦闘における側面の概念は部隊の陣形とその方向から定義されており、教範で与えられている定義も「側面とは部隊の左右の限界である」という簡単なものです。つまり、部隊の左右の限界に対する攻撃が側面攻撃と言えます。

側面攻撃は、正面で戦闘を遂行するのに比べて側面では部隊の戦闘力がうまく発揮できない特性を利用した基本的な戦術の一つです。
したがって、戦術学では指揮官は極力こちらの側面を敵に暴露しないように注意しなければならず、また敵の側面を攻撃できる機会を見逃してはならないと考えられています。

上の図で示されているのは機動せず陣地に配置されている部隊の右翼と左翼をそれぞれ指したものです。全体を囲っている線に付いている「I」というのは部隊符号の一種で「中隊」という意味です。
その内側の諸要素を囲っている線の「・・・」は「小隊」で、「・・」は「分隊」という意味です。
この図では敵の方向に対して中隊の3個小隊の車両が横陣に展開しており、したがってその右側と左側に側面があるということが分かります。

ただし、次の図を見てもらえれば、機動を行っている部隊にとっての側面は陣地に配置された部隊にとっての側面と意味が異なることが分かります。
左斜めに展開した車両が隊形を維持して前進していることが分かると思います。

斜行陣であれ何であれ機動する部隊にとっての正面は陣形とは関係なく進行方向となります。したがって、左翼や右翼という側面はその方向から定義されなければなりません。

側面攻撃を開始すると敵は直ちに新しい正面を形成するように機動して陣地転換します。
したがって、側面攻撃の効果は相手の陣地転換が完了するまでの間しか得られないということは理解しておかなければなりません。旧日本軍の資料では次のような説明があります。

「正面と言い、側面と言うも、その区別は全般の敵の配備上から見た語であり、側面攻撃においても敵はわが攻撃にあたってその方面に兵員を配置して新正面を形成するべく攻撃実施に任ずる舞台は局地的には正面攻撃を粉わざるを得ない場合が少なくない。しかれども側面攻撃はたとえその実施が正面攻撃に陥る場合においても敵の準備は本来の正面よりも薄弱なるを免れないことにより、純然とした正面攻撃と比べて有利であることは論を待たない」

おおむね戦術概念としての側面攻撃について説明するべきところはこのぐらいです。
あくまでも側面攻撃は比較的限られた戦場において適用するべき概念だということを覚えておいて頂ければと思います。
側面攻撃の概念が理解できれば、戦術において戦闘陣形(Battle Formation)がどのような意味を持っているかが理解できるようになります。

KT

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