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2014年3月3日月曜日

戦略・作戦・戦術の階層構造


軍事学の用語でも戦略、作戦、戦術について理解することは一つの難所となっています。

これは戦争の階層構造とも関連しています。例えば最も戦争を広く捉えるならば、交戦中の国家の連合体を一つの行為主体として考えるモデルが考えられます。
しかし、もう少し下位に目を移すと、各国家が行為主体となった戦争、各軍・艦隊・航空団が行為主体となった戦争、各師団、各艦艇や戦隊、各飛行隊などと細分化されていきます。

戦略、作戦、戦術の関係はこうした戦争の階層構造に対応して定義されてきたものです。

いずれも戦争術として総合することもできますが、戦争の各階層に対応した運用を研究するためには、軍団や師団、大隊や中隊などの運用を混合することは都合がよくありません。

戦術というのは部隊、艦艇、航空機という戦力を展開する技術として定義され、一般に師団や旅団以下の戦場での使用が想定されます。その一方で戦略はその国家の陸海空軍を戦争の目的を達成するように戦域で使用します。
この二つの概念が最も基礎的な区分ということになります。

つまり作戦とは戦略と戦術の中間に関わる概念であり、複数の戦場を一つの作戦地域に総合し、かつ戦域全体の中で位置づけながら戦略的に指導するものです。
20世紀の陸上作戦で言えば軍や軍集団の運用がこれに該当します。

ただし、戦争と戦闘を結ぶ作戦という概念の位置づけについては現在においても研究者の間で完全に合意があるというわけでもありません。

作戦術は戦略と戦術の相互にまたがるという考え方それ自体を批判する研究もありますし、概念がうまく定義されていないという立場もあります。

作戦という概念の意義や有効性を主張しすぎることで、戦略的意思決定と戦術的意思決定に見られる本質的な相違が分かりにくくなるというのが私の見方です。

作戦というのは戦略学と戦術学、そして兵站学が共有する軍事学の基本概念であったとしても、一般に作戦術として検討される問題は、いわゆる高等戦術か初等戦略の問題として処理されるべきだと思います。

作戦をどのように理解するかは、その人の戦略観や戦術観が強く反映される問題です。そして、それは戦争を一つの体系的な技術としてみた時、誰が、誰に大して、どのような任務と権限を与えるかという問題に通じているのです。

KT

2015年1月5日 追記

この問題について研究するためには作戦術の知識が必要となります。
作戦術は「軍事力を戦域で戦略的目的を達成するために一連の戦闘、交戦を結びつける」ことを意味します。
ある意味で、作戦術は戦略学の一部とも言えます。なぜなら、作戦術は「戦争目的を達成するために戦闘を使用すること」というクラウゼヴィッツが定義した戦略の内容と相当に重複しているためです。
しかし、どのような学問でも概念の定義をめぐる論争があるように、この論点について軍事学として確固とした見解が研究者の間で確立されているわけではありません。

作戦術の観点から分析された文献としては次のようなものがあります。
Doughty, R. 1979. The Evolution of US Army Tactical Doctrine, 1946-76, Fort Leavenworth: U.S. Army Combat Studies Institute.
Romjue, J. 1984. From Active Defense to AirLand Battle: The Development of Army Doctrine, 1973-1982, Fort Monroe: U.S. Army Training and Doctrine Command.

また、戦略、戦術と作戦術の関連について説明した論文には次のものがあります。
Biddle, S. 2007. "Strategy in War," PS: Political Science and Politics, 40(3): 461-466.


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