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2014年2月6日木曜日

退却にはどのような種類があるのか


以前、ナポレオンの軍事格言で退却に関する投稿を行いましたが、退却の形態にどのような種類があるか、戦術学的な議論を知りたいというご質問を頂きましたので、簡単にまとめておきます。

第一に、戦術学では作戦行動を攻勢作戦と防勢作戦に大別しています。
戦術学において、退却というのは防勢作戦の一種で、厳密には後退行動に位置づけられる戦闘行動の一種ということになるわけです。

さて、退却に関する研究ですが、軍事理論家のジョミニは退却について次のように議論しています。
「もし戦闘の理論が不明なものを何でも伏せておくなら、退却の理論がその中の一つに他ならない」 
「退却はその原因によっていくつかの異なる種類がある。将官は現在のそれより有利な陣地に敵を誘致する目的で先頭に先立たち自らの自由意思で退却を行うことがある。これは退却というよりも、むしろ賢明な機動と言うべきだろう」 
「将官は側面か、背後のいずれかの敵から脅威を受けている地点を急いで防衛するために退却を行うこともある。貧寒な土地で群がその補給処から遠く離れて行進中の場合、より近くで補給を行う見地から仕方なく退却することもある。最後に、軍は戦闘に敗北した後で、またその企図が不成功に終えた後で、やむを得ず退却を行うこともある」
ジョミニが指摘しているように、退却の戦術を研究する場合、その作戦目標の性格が状況によって異なることは重要な論点になります。

戦術というものは戦闘における損害交換比で戦果を判断することもありますが、突出した前線を整理すること、時間の猶予を確保すること、背後の拠点の防衛を強化することなどといった任務の性格から判断することも必要になってきます。なので、退却の形態はこうした作戦目標によって変化するというのが一つの答えとなります。

より形式的な退却の分類法について簡単に述べておきますと、ジョミニは退却を五つの範疇に分類しています。

・全軍が一本の経路上を行進する退却
・全軍が二または三個の部隊に分割して混乱を回避するため一日行程ずつずらして同一の経路を行進する退却
・全軍を複数の部隊に分割して共通の退却目標に向けて異なる複数の経路上を行進する退却
・作戦の開始時点から全軍を分割し、同一の根拠地から伸びる複数の異なる求心的な経路に沿って行進する退却
・作戦の開始時点から複数の根拠地から伸びる複数の異なる離心的な経路に沿って行進する退却

この分類法の検討は内線・外線作戦の態勢の議論になるので省略しますが、退却の戦術を研究する上で重要なのは経路の選択です。これは追撃の戦術を研究する場合にも同じことが言えます。

KT

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