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2014年2月4日火曜日

現在のアフガニスタン軍の能力を評価する


アフガニスタン(以下アフガン)では大統領選に向けた準備が着々と進んでいます。投票日は4月5日となっており、現大統領カルザイの後に政権を握ろうと11名の候補者が出馬しています。

この選挙の結果次第で、アメリカの中東戦略の結果がはっきりと目に見える形で表れることになるでしょう。今後のアフガン情勢を考えるためにも、現在のアフガン軍について実態どの程度のものかを概観してみたいと思います。(以下の記述は2013年のミリタリー・バランスに依拠しています)

NATOの計画によれば、2014年までにアフガン軍の能力はNATOによるタリバンへの軍事作戦の実行を引き継ぐレベルに向上していることになっています。ここで興味深いのは、アフガン軍を支援するNATOの教育隊が特に重視しているのが航空戦力の強化であるということです。

現役のアフガン軍の勢力は約19万名、その内訳として陸上戦力は18万4000名、航空戦力が6000名程度となっています。ちなみに兵員については2014年までに26万名に増強する計画があるそうです(詳細未確認)。

現段階での部隊の編制はおおむね次の通りです。
・第111首都師団
・第201軍団
・第203軍団
・第205軍団
・第207軍団
・第209軍団
・第215軍団
・即応大隊が数個
・第1特殊作戦群
アフガン軍は国防省が管轄する部隊だけでなく、内務省が管轄する部隊が15万弱ありますが、こちらの詳細な装備や編制は分かっていません。正規軍の主要装備は戦車0両、装甲兵員輸送車173両、砲兵の装備に122ミリが85門、155ミリが24門です。

こうした陸上戦力の所要を考える一つの量的尺度に空間に対する戦力の密度があります。アフガンの面積65万平方キロに対してこの1万名の兵員で3万平方キロを抑える程度で、言い換えれば1名が3平方キロを担当する計算になります。

一見すると、アフガン軍が十分な勢力を確保しているようにも思えません。さらに山岳地域に特有の地形やタリバンのゲリラ作戦への処置、そして戦略予備のことを考慮する必要があるでしょう。要するに部隊の規模に対し、戦闘で使用できる兵員や装甲車両が絶対的に不足しているのです。この問題に対するNATOの解答が航空戦力の活用と考えられます。

アフガンのような山岳国の安全保障では地上部隊が決定的な重要性を持っています。山岳戦で地上部隊を航空部隊と連携させながら効果的に運用することは必ずしも経済的な方法ではありません。資料によれば、35機の練習機と50機強のヘリコプターの装備が導入されているに留まっており、2014年までに指揮権が委譲された後も航空機の整備に必要な部品や燃料は全面的にアフガン国外に依存することになるでしょう。それが貿易収支、引いてはアフガンの国民経済にマクロ的な影響を及ぼすことは避けられないでしょう。

実際問題としてアフガン軍の能力は独自に作戦を実行する上でさまざまな制限があり、要の戦力である航空部隊はNATOへの依存がなければ所定の機能を果たすことができない厳しい状況にあります。
こうした制約条件を正確に理解していなければ次期政権はタリバンとの作戦指導に失敗する危険があります。政権中枢や司令部要員に対してNATOが軍事的助言ができなければ、この危険は比較的近い将来に現実のものとなると考えられます。

KT

参考のために
BBC News - Afghan Presidential Election Campaign under Way
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-26007023

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