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2014年2月23日日曜日

なぜ諸兵科連合は戦術的に有効なのか


すでに軍事学について一定のご見識があれば、こう思われても無理はありません。
「諸兵科連合なのは有効なのは当たり前じゃないか!」

確かに諸兵科連合は現代の陸上作戦で自明の原則とされています。
しかし、経験的に既知の事柄を理論的に説明することもまた学問であります。どうかご容赦下さい。

そもそもの諸兵科連合の定義から見てみましょう。
米陸軍の野戦教範FM3-0によれば、諸兵科連合とは次のように定義されています。
「諸兵科連合とは歩兵、機甲、砲兵、工兵、防空、航空のような複数の兵科が各々で敵に対して分散的または連続的に用いられる場合よりも大きな効果を敵に及ぼすことを目的とした同調的または同時的な活用である。」
諸兵科連合は攻勢作戦と防勢作戦に共通する最も基礎的な戦術概念の一つです。

この概念が革新から常識に至る歴史を簡単に要約すると、陸軍の戦闘兵科として歩兵、騎兵、砲兵という区別が普及するのは、三十年戦争を通じて野戦砲の軽量化が標準的になる17世紀以降と考えられています。
したがって、諸兵科連合の前提条件である「戦闘兵科の分化」そのものは、かなり歴史があると言えます。

しかし、現代の意味での諸兵科連合が成立した時期は一説によれば第一次世界大戦が勃発した1914年であるとされています。

その理由として19世紀中ごろに技術革新により火力の著しい向上があったことが指摘できます。
この時期の技術革新を網羅することはできませんが、小銃射撃で生じる硝煙の問題に決着をつけたことをここでは触れておきます。

それまでの研究では発砲の際に生じる硝煙が射手の視界を妨げてしまうことが、戦場における有効射を難しいものにしていました。この時期の燃焼作用の研究成果により火器に用いる火薬が改良され、射手の視界を確保することができるようになりました。
この技術は第一次世界大戦における火力戦闘の様相を一変させることになったのです。

というのも、それまで戦場を覆い隠してきた硝煙が消失したことで、戦場における火力戦闘はこれまでになく容易なものになったためです。

防御陣地に対して正面攻撃を実施する場合、わずか数名の敵の機関銃手によって1個歩兵中隊が撃退される事態が生じる事態になりました。その難しさが戦死者の数として現れたのが第一次世界大戦の特徴でもあり、この戦争では従来にない単位の死傷者を出すことになりましたが、それは19世紀の技術に戦術が追いつけなかったことによるものでした。

諸兵科連合はこうした背景の中で考案され、研究されてきた戦術概念でした。

この戦争で敵の機関銃手や小銃手を制圧する砲兵の火力と、敵を突破、浸透する歩兵のと連携が有効な戦術であることが証明され、部隊の人員、装備、武器、訓練、教義などあらゆる側面から見直しが行われたのです。

諸兵科連合という概念は戦間期における戦車の研究開発を受けて、第二次世界大戦においてさらに新しい応用方法が見いだされることになります。

電撃戦として知られるドイツ陸軍の戦闘教義はこの諸兵科連合の原理を第一次世界大戦のような消耗戦の局面ではなく機動戦の局面で適用したという意味で一つの画期でありました。

まとめますと、現代の作戦行動の基礎となっている原理は数多くありますが、その中でも諸兵科連合という戦術概念はまさに近代戦争における軍事行動を支配してきた重要な原理と言えます。

将来戦争の展望を持って研究する者であれば、諸兵科連合という原理がどのように将来の武器、装備、運用に適用できるかを考えなければならないでしょう。

もし独自に研究する場合の参考文献
Jonathan M. House, Combined Arms. Warfare in the Twentieth Century. Lawrence, KS: University Press of Kansas, 2001.
Jonathan, M. House, Toward Combined Arms Warfare: A Survey of 20th Century Tactics, Doctrine, and Organization, Fort Leavenworth, KS: U.S. Army
Command and General Staff College, 1984. (http://usacac.army.mil/cac2/cgsc/carl/download/csipubs/house.pdf)
Gerhard L. Weinberg, A World At Arms. A Global History of World War II (1st ed. 1995). Cambridge: Cambridge University Press, 2005.

KT

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